VISA幹部が中銀発行デジタル通貨(CBDC)への金融システム移行を予言

中央銀行発行のデジタル通貨(CBDC)は、デジタル経済への移行を決定的に左右する舞台を整えます。VISAの暗号資産(仮想通貨)部門ヘッドのカイ・シェフィールド(Cuy Sheffield)氏が最近、この分野の専門家の見解としてツイートしました。

シェフィールド氏は特に、CBDCは今後10年で未来のお金と決済に関する最も重要なトレンドの1つになるだろうと主張しています。

CBDC開発の現状は予想以上に進んでいる

シェフィールド氏は7月初旬、Twitter上でCBDCについて一連の見解を展開し、利害関係者は広く、CBDCの開発・発展に向けてより深く関わるべきだと投稿しました。

例えば7月3日、同氏は「政府がCNDCを評価する際、その決定に至る道程は、プレイバシー、金融自主権、地政学、金融包摂はもちろん暗号化されたドル紙幣やビットコイン(BTC)の世界的導入にまで重大な影響を持つことになる」と述べています。

同氏によると、各国政府はプライバシーなど諸問題が政策に与える影響を考慮すれば、ビットコインやほかの仮想通貨の導入に決定的な役割を果たすことになると指摘しています。

CBDCは現在、これまで業界での研究論文と比較すれば、現実はさらに先を行っています。シェフィールド氏は、専門家、組織、学界などからのこの領域での大きな貢献によって、事態は発表される論文にとどまらず、より確かな内容にまで進んでいることを強調しています。

CBDCはすでに消し去ることのできない世界的関心

同氏のこのような考え方は、デジタル通貨に対するVISAの強い関心の表れです。VISAは19年11月、米ドルのデジタル化に関する特許を申請しています。これは分散台帳技術を利用して、中央管理のコンピューター上でデジタル通貨を発行する手続きに関する特許であり、特許命題は「デジタル法定通貨(Digital Fiat Currency)」となっています。

シェフィールド氏は、CBDCが今後10年の最も重要な進展の1つになるだろうと予言して、次のようにツイートしました。

「CBDCは今後10年に関して、通貨と決済の将来で最も重要な動向の1つになるとというのが私の見解である。その良し悪しについてどのような個人的見解があろうとも、世界的な関心は決して消え去ることはないというのが現実だ」。

世界ではCBDC発行へのテストが進展中

国際決済銀行(BIS)は6月に公表した年次報告書の中で、CBDCへの関心が高まっていることを示しました。 報告書は特に中国が5月、人民元に代わるデジタル人民元のテスト開始に触れて、普及は時間の問題だと述べています。またEU諸国ではフランスとイタリアがデジタルユーロ開発に積極的であり、カナダ中央銀行はCBDCソリューションのテストを開始していること認めています。

スウェーデンの中央銀行であるリクスバンク(Riksbank)は6月、CBDCが最も効率的で有効な国際的な決済ステムになりうると、報告書の中で結論付けています。スウェーデンは、既存の金融システムの改善が進まなけらば、eクローナ(eKrona)と呼ばれるステーブルコインに切り替えざるを得ないとさえ主張しています。

参考
CBDC’s Are the Future of Money and Payment Ecosystems: Visa’s Head of Crypto
Cuy Sheffield, the Head of Crypto at Visa, Argues that Central Bank Digital Currencies Could be One of the Most Important Developments in the Coming Decade

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