米ドルはビットコイン(BTC)と逆相関関係に陥り、崩壊の危機に

ビットコイン(BTC)は世界的に主要な資産の1つとしての立場を固めつつあり、株式市場などほかの市場との相関関係も強まっています。2月末から3月初めにかけて米株式市場はパニック状態でしたが、ビットコインも暴落したのはまだ記憶に新しいことです。そして現在ビットコインは、金(ゴールド)やその他貴金属との相関関係も一段と深まっていると考えられています。対照的に米ドルとは「逆相関関係」と言える状況に陥っています。

日足チャートから「米ドルの崩壊」を読み取る

米ドル価格が下落すると、金やビットコインの価格が大きく値上がりしているのが、米国の今の典型的な状況です。一部のアナリストは、米ドルの為替日足チャートに現れる一過性の上げトレドであるベアフラッグ(bear flag)を見て、「米ドルは崩壊の始まりだ」と表現しています。この切迫した危機的状がビットコインの価格上昇を招き、1万2,000ドルの抵抗線を超える事態を生み出した可能性があります。

今年初め、安全な避難先の投資対象としてもてはやされたビットコインは、3月下旬に急落したものの8月に入って金とその他貴金属との相関関係が改めて注目されています。他方、ドルの増刷によりインフレ懸念が高まっていることから、投資家の目は金そしてビットコインなどの資産に向いています。

スキュー(Skew)のデータによると、ビットコインと金の相関関係は7月下旬以来高まっています。過去1カ月間の相関関係は、ピーク時には69%に達し、8月半ば時点でなお49%あります。1カ月の年間移動平均である12.8%と比べると極めて大きな上昇です。

新型コロナウイルスの影響を受けた米ドル

一方この間に、米ドルはベアフラッグ形成に向けて進んでいると、見ているトレーダーもいます。ビットコインは米ドルと逆相関関係になり、1万2,000ドルの抵抗線を超え、さらにその上値を超えるという予測が成り立ちます。

米ドルは過去数カ月、新型コロナウイルスのパンデミックの影響をもろに受けて、米国経済は揺らいでいます。ドルの増刷は過剰な状態に達しています。

ニューヨークのブローカーディーラーであるオデオンキャピタルグループ(Odeon Capital Group)のシニアリサーチアナリスト、ディック・ボーヴ(Dick Bove)氏は、米ドルが新型コロナウイルス、米国と諸外国の厳しい経済情勢そしておそらく仮想通貨の影響を受けて、困難な状況に追い込まれていると語ります。

米ドル支配の金融システムの終焉を予兆

ボーブ氏によると、米ドルによる金融システムは、崩壊寸前にまで来ています。言い換えればそれは、デジタル通貨がその地位を支配することを示唆しています。ここ数カ月ビットコインの人気は高まり、価格は新しい高みをうかがっています。多くの人々は、ビットコインをインフレの恐れや厳しい経済状況に対する避難先と見ようとしています。

恒常的に強いドルの能力について多くの疑問が生じているのに対して、ビットコインの信頼は上昇しています。ボーブ氏は、全能の米ドルによって支配、規制されてきた金融システムは、永遠に終わりを告げる瀬戸際にあることを予兆して、「新しい通貨は紙幣、メタルあるいはデジタルであるかもしれない。このようなことが起きる可能性は恐るべきことだと言わざるを得ないのだが、可能性は極めて高い」と分析しています。

参考
The US Dollar is “Ready to Break Down” – How This May Impact Bitcoin
Could the U.S. Dollar Fall Behind Bitcoin?

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