シークレットコントラクトなどが特徴的でデータを秘匿のままコントラクトを実行できる技術開発を進めるEnigma(エニグマ)は、プロトコルはローンチに向かって着々と進められている。そんなEnigmaのネットワークを維持するためにも必要なシークレットノードについて詳細が発表された。
シークレットノードを実行しEnigmaネットワークに参加することでインセンティブを受け取ることができ、技術面と投資面の両方で注目されている。シークレットノードを実行し、Enigmaネットワークに参加するためには、何が必要なのだろうか?
Enigmaは、ブロックチェーンをサポートするセカンドレイヤーとも呼ばれている。セカンドレイヤーは、ブロックチェーン単体では不足していると考えられる部分を補うものとして実行される。ブロックチェーンは、その構造上データがオープンのためプライバシーが守られない。またスケーラビリティなどの問題もある。Enigmaでは、特にこの2つの問題に対応したプロトコルを目指し、分散化されたWebのプライバシーレイヤーを作るために進められている。
シークレットノードの実行要件
下記一覧がシークレットノードを実行するために必要な条件となる。
項目 | 詳細 | |
---|---|---|
1 | シークレットノードに必要なENGトークン保有量 | 25,000ENG |
2 | 年間のブロックリワード | 75万ENGから始まり、前年比10%ずつ減少 |
3 | ノードはどのように選択されるか | ENGの保持量が多いほど選択される可能性も高くなる |
4 | ジェネシス(Genesis)ノード | 初期段階でノードの数は50に限定 |
5 | ジェネシスノードはどのように選ばれるか | 初期段階でノードの数は50に限定 |
6 | ハードウェア、ソフトウェア要件 | SGX対応コンピュータ、OSはLinux |
シークレットノードに必要なENGトークン保有量
Enigmaメインネットのシークレットノードを実行するENGトークン保有量の最低必要量は25,000ENG。これは、他のネットワークの調査、トークンの分布に基づく内部モデリング、ネットワークの維持可能性と分散化に対するバランスなどによって決定されたようだ。
年間のブロックリワード
ノードオペレーターは、ネットワーク上で支払われた報酬の一部を受取る。メインネットが稼働し75万ENGから始まり、その後は前年比から10%減少する。ネットワークが稼働して1世紀で使い果たされることはない。
ノードはどのように選択されるか
Enigmaネットワークを使用し計算を行う場合、あるノードが選択されインセンティブを受け取ることができる。ノードによって固定されるENGトークンの量が多いほど、ノードが選択される可能性が高くなる。より多くのENGトークンを保有するノードがインセンティブを受け取れる可能性も上がるようだ。
ジェネシス(Genesis)ノード
ネットワーク初期の段階では、分散型だが管理しやすい方法で成長することが重要だと考える。最初は、ハードフォークなどの変更も必要となる可能性があるため、メインネットに展開したときに使用されるシークレットノード数は50に制限される。これをジェネシス(Genesis)ノードとする。
ジェネシス(Genesis)ノードはどのように選択されるか
Enigmaを分権化する目的のために、ジェネシスノードを公正な方法で選ばなければいけない。これはテストネットで誠実に動かす(稼働時間やセキュリティなど)ことで選択される。これをジェネシスゲームとする。ゲームの終わりにジェネシススコアに基づいて、上位30のノードが選ばれる。また、Enigmaエコシステムへの寄付など貢献している人が10、その他抽選により10のノードが選ばれるようだ。これにより、メインネットが起動するときには、合計50のノードが存在する。
シークレットノードのハードウェア、ソフトウェア要件
シークレットノードを実行するために、インテル・ソフトウェア・ガード・エクステンションズ(SGX)対応コンピュータ、またはSGX対応クラウドへのアクセスが必要となる(SGX対応詳細リスト)。また、OSはLinuxを使用する必要がある。
今後のスケジュール
- 3月末にディスカバリーコードをオープンソース化
- オープンソース化後に内部レビューとネットワークのストレステスト
- Ethereumテストネットに展開
ノードランナー
- メインネットのENGトークン保有量に基づいて、テストネットのトークンを配布。
- テストネットのトークン配布を受け取るには、自分が管理しているアドレスにトークンを保持。ノード運営を計画している場合で、取引所などに置いている場合は、MyEtherWallet(マイイーサウォレット)などのウォレットに移す必要がある。
- 今後メインネットに保有するENGトークンのスナップショットを撮影する日を発表。
- スナップショットのあと、テストネットのトークンを配布。
- テストネット導入後にジェネシスゲームを始める。
シークレットノードの展開
上記で述べたように、ネットワークの初期段階ではノードの数を50に制限する。将来予想されるハードフォーク後、ステーキング要件とハードウェア要件を満たすすべてのノードがネットワークに参加できるようになる。
Enigmaは、いよいよノードを立ち上げネットワークへの検証に入るところだ。ネットワークが安定するまでは、初期のノード数を限定しているが、その後の展開としては、要件を満たすすべてのノードがネットワークに参加可能のようだ。Enigmaプロトコルが目標としている分散型Webの考えは、時代の流れとともに注視されるだろう。
最近では、Facebookの最高経営責任者(CEO)であるマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)氏もプライバシー重視のプラットフォームへ転換する構想を明かした。これは個人情報の流出などプライバシーに関する多くの問題が起きているためだ。Enigmaプロトコルは、プライバシーの問題に対応した分散Webの可能性を持つと考える。今後、ノードが立ち上がりネットワークが検証されていくなかで、Enigmaのパートナー企業の活動も注目していきたい。
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