金が史上初の5,500ドル台突破、銀も117ドルと最高値更新するもBTCは停滞
金スポット価格が5500ドル台に到達し、銀価格は117ドルの史上最高値を記録しました。1月28日に米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げを見送ったにもかかわらず、貴金属市場は「安全資産への逃避」が強まって急騰。その一方で、ビットコインは8万8000ドルから9万ドルの狭いレンジ内で足踏みが続き、資産クラス間で明暗がくっきり分かれています。
金が史上初の5,500ドル台に上昇、地政学リスクと不信感が支えに

ゴールド(XAU)/USD 1時間足チャート
今回のFOMC前後で最も派手に動いたのが金(ゴールド)市場です。
金スポット価格はじわじわと上昇を続け、ついに5500ドル台へ到達しました。本来なら利下げ見送りは金価格にとってマイナス要因のはずですが、実際には高値圏でしっかりとした値動きを見せています。
背景にあるのは、トランプ大統領の読めない外交政策や「ドル安容認」発言による市場の不安定さです。アナリストからは「信頼の蒸発」という言葉まで出ており、投資家が米国資産から金へと資金を移している様子が見て取れます。
銀は117ドルの史上最高値、需給逼迫が加速

シルバー(XAG)/USD 1時間足チャート
銀(シルバー)価格は117ドルの史上最高値をつけ、年初来の上昇率は約60%に達しました。
投資判断の目安となる「金銀比価」は、パンデミック時の127倍から45倍付近まで一気に縮まっています。
上昇の原動力は産業需要の急拡大です。太陽光パネル、電気自動車、AIデータセンター向け半導体といった成長分野で銀の需要が増え続けています。ロンドンやニューヨークの倉庫在庫は減る一方で、中国や韓国では個人投資家が現物買いに殺到。一部の市場では国際価格に8ドルから9ドルものプレミアムがついているほどです。
ビットコインは9万ドルに届かず、流動性依存の動きが鮮明に

BTC/USDT 1時間足チャート
金や銀が勢いよく上げる中、ビットコインは8万8000ドルから9万ドルの狭いレンジ内でもたついています。昨年つけた史上最高値の約12万6000ドルからは、およそ30%も下の水準です。
ビットコインは相変わらず金融システムの流動性次第で動く性質を見せています。今回FRBが利下げを見送ったことで、流動性が広がるという期待が消えてしまい、上値が重くなりました。金が「恐怖」や「不信感」をエネルギー源にして上がっているのとは、対照的な動きです。
価格変動の背景にFOMC、利下げサイクルが一時停止
これらの市場の動きを引き起こしたのが、1月28日のFOMC決定でした。FRBは政策金利を3.50%から3.75%の範囲で据え置き、昨年9月から3会合続けてきた利下げの流れに初めてストップをかけました。
利下げを止めた理由は、思いのほか好調な経済指標にあります。FRBは声明文で経済活動の評価を「緩やかなペース」から「堅調なペース」へ格上げ。2024年第3四半期のGDP成長率は年率4.4%まで伸び、雇用市場にも明るい兆しが見えてきました。ただ、12月の消費者物価指数(CPI)は年率2.7%上昇と、インフレは依然として目標の2%より高い位置にあります。
今回の会合では、スティーブン・ミラン理事とクリストファー・ウォラー理事の2名が反対票を投じ、追加利下げを求めました。FRB内部でも意見が割れる中、パウエル議長は会見で「データに語らせる」と述べ、これからの利下げは状況を見ながら慎重に進めていく構えを示しました。
次回6月のFOMCと、5月に任期を迎えるパウエル議長の後任人事が、今後の市場の行方を決める大きな節目になりそうです。