世界最大手投資銀行のモルガン・スタンレー(Morgan Stanley)は最近、ビットコイン(BTC)発行10年を機に報告書を公表し、ビットコインは機関投資家向けの投資資産クラスとして分類したことを明らかにしました。
その意味するところは、ビットコインを株式や不動産、債券あるいは現金や商品と同様の資産タイプであることを認めるものです。
ビットコイン(BTC)を機関投資家向け資産クラスと位置付ける根拠
モルガン・スタンレーの調査部門は報告書作成に当たり、過去6カ月期間の市場のビットコイン利用実態を精査しました。関係者は台帳技術やハッキング、ハードフォーク、市場ボラティリティなどを調査した結果、ビットコインを分類する最も合理的な方法は、機関投資家向け資産クラスとして扱うべきだという結論になりました。
「Bitcoin Decrypted: A Brief Teach-In and Implications(ビットコイン解読:ティーチイン要旨と意味合い)」との最新報告書(2018年10月31日)によれば、ビットコインは単なるデジタル決済システムでも金融ネットワークでもなく、間違いなく資産クラスであると結論付けています。そのような結論に達するビットコイン・エコシステムについて次のように評価しています。
「ビットコイン・エコシステムの周りのさまざまな問題と発見は、すべての取引を記録する恒久台帳、多数のハッキング、ハードフォーク、ビットコインより安価な新しいテクノロジー、市場ボラティリティなどの命題に進化をもたらした」
71億ドルのビットコイン(BTC)保有するモルガン・スタンレー
モルガン・スタンレーは、ビットコインがこの10年で進化したことをこのよう評価しています。同社には現時点で71億1,000万ドル(約8,000億円)相当のビットコインが、ファンドあるいは投資会社によって保存されています。
これはビットコインの創始者と言われるサトシ・ナカモトが、ビットコインは「金融機関の関与を避けたい」という当初ホワイトペーパーの趣旨に反することです。しかし、大手金融機関によるビットコイン採用は増加途上にあり、合法的資産としてのビットコインの後ろ盾に貢献しています。
報告書は、大手金融機関がビットコインとのかかわりを強化している事実は、このような命題をサポートしていると指摘し、例えば投資信託フィデリティ(Fidelity)が最近クリプトサービス部門を新設したこと、仮想通貨交換所シードCX(Seed CX)やビットゴー(BitGo)、バイナンス(Binance)などによる投資、規制当局の認可、コインベース(Coinbase)による最近の資金調達ラウンドなどが顕著な傾向として挙げています。
ビットコイン(BTC)評価に厳しいJPモルガンのダイモンCEOも徐々に態度軟化
そうは言っても報告書によると、クライアントが仮想通貨に投資する際の3つの問題点は、規制の不確定性、規制上の資産保管(カストディ)ソリューションの欠如、そして大手金融機関の投資動向であります。
大手金融機関の投資動向については、JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン(Jamie Dimon)最高経営責任者(CEO)は、ビットコインへのスタンスが業界随一厳しいことで知られています。同CEOは17年9月、ビットコインは「ペテン(詐欺)だ」とまで決めつけましたが、すでに前言撤回して決めつけたことを後悔しているとしています。また同CEOは、ビットコインを基になっているブロックチェーンについて、「ブロックチェーン技術は本物である」ことを認めています。
ビットコインなど仮想通貨に対する大手機関投資家の考え方は、モルガン・スタンレーが示すように、否定的見解から肯定的な方向に変わり始めていることは確かのようです。
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