最近、さまざまな分野で「サステナブル」という言葉を聞くようになってきましたが、特にファッション業界では、衣服の大量生産や大量廃棄による環境汚染が世界的な社会問題となっていることもあり、サステナブルな取り組みを行うブランドが増えています。
そこで今回は、私たちの身近にあるブランドがどのようなサステナブルな取り組みを行っているのか、事例をあげて紹介していきます。人気ブランドばかりですので、ぜひチェックしてみてくださいね。
サステナブルとは?ファッション業界の課題
「持続可能な」という意味を持つサステナブルとは、環境を破壊することなく、持続が可能な地球や社会のことを表す言葉です。
ファッション業界では、ファストファッションの流行によって、衣類の年間消費量や廃棄量が急激に増えたことが世界的に問題視されています。ファッション業界に関わる温室効果ガスは世界全体の約10%、廃水の排出量は世界全体の約20%を占めており、繊維製品の約85%が再利用されずに処分されていると言われます。また、ファッションに使う毛皮のために、動物の処分をすることも問題視されています。
このような中、2015年の国連サミットで「持続可能な開発目標(SDGs)」が採択されたことをきっかけに、世界各国でサステナブルな取り組みを推進する動きが見られるようになり、ファッション業界においても、流行の最先端をいくハイブランドがこぞってサステナブルファッションに賛同するようになりました。
サステナブルファッションとは、生産段階から消費までのすべての工程において、地球環境への配慮がなされたファッションのことです。
ファッション業界は未来の世代のためにも、限りある資源をなくさないように維持しながら、環境問題などに積極的に取り組んでいく必要があるのです。
ファッションブランドのサステナブルな取り組み
サステナブルな取り組みを始めているのは海外のハイブランドだけではありません。私たちの身近なブランドの中にも、サステナブルな取り組みを始めるブランドは数多く存在しています。
そこで続いては、皆さんがよく知っているブランドのサステナブルな取り組みを紹介しましょう。
ユニクロ
ユニクロは、「服のチカラを、社会のチカラに。」というスローガンを掲げ、サステナブルな活動に取り組んでいるブランドです。
ユニクロの主なサステナブルな取り組みとしては、ペットボトルをリサイクルした再生ポリエステルで商品を製作、再生紙を利用したエコバッグの販売、水資源の消費を抑えたジーンズ作りの研究などがあります。
また、ユニクロ・GUは各店舗にて全商品のリサイクル活動を行い、被災地や難民キャンプへ衣類をリユースするサステナブルな活動を行っています。
無印良品
無印良品は、オーガニックコットンを使ったサステナブルファッションをいち早く取り入れたブランドです。
無印良品は資源を無駄にしないという理念を持ち、2018年からは商品に使われるコットンのすべてがオーガニックコットンへと姿を変えました。
また、無印良品では家庭で不要になった衣料品を店舗で回収し、リユース・リサイクルにも積極的に取り組んでいます。
H&M
H&Mはファストファッションの流行によって衣類の大量生産・大量廃棄につながった背景から、サステナブルファッションへの取り組みを積極的に行っているブランドです。
H&Mでは回収した古着を新しいデニムに作り替えた商品の販売や、オーガニックコットンや再生ポリエステルなど環境に配慮した、オーガニック素材やリサイクル素材を使ったサステナブルファッションの展開を行っています。
また、H&Mでは環境面に配慮するだけではなく、雇用に関した社会問題にも積極的な取り組みを見せており、公平で平等な職場づくりができるようなサステナブル社会の実現を目指しています。
BEAMS
BEAMS MEDICALの生産拠点であるヤギコーポレーションでは、環境に配慮したサステナブルな取り組みを行うリサイクルシステム「YES」を備えています。
「YES」では、ユニフォームとしての役割を終えた自社製品を回収し、自社施設で新しい固形燃料(RPF)エネルギーに作り替えています。そして、専用ボイラーで燃焼し、生じた熱源で製品をプレス加工する際のスチームを発生させています。
これにより、化石燃料の使用を削減し、CO2の発生を減少させることが可能です。
アーバンリサーチ
アーバンリサーチでは、素材分別が難しい廃棄繊維を色で分けて、付加価値のある素材にリサイクルする研究を行っている「Colour Recycle Network (カラーリサイクルネットワーク)」との協働によって、廃棄衣料をアップサイクルしたサステナブルブランド「commpost (コンポスト)」を立ち上げました。
また、アーバンリサーチでは、サステナブルな活動として同ブランドの素材・製品の生産過程において、障がい者をはじめとした就労困難者や地域住民との協働ができる環境を整えています。
エコアルフ
エコアルフは、スペイン生まれのサステナブルブランドで、すべてのアイテムを再生素材や環境負荷の低い天然素材のみで作っています。
例えば、エコアルフのスニーカーは「UPCYCLING THE OCEANS」により回収された海洋ペットボトルを原料として作られています。
このようにエコアルフでは、ペットボトルや漁網、タイヤなどを独自の技術でリサイクルした生地により、最先端のサステナブルファッションを手掛けています。
Re:EDIT
リエディは、人と地球に優しい持続可能な社会を目指して、アイテムだけではなく、梱包や紙類にもサステナブルな素材を追求しているブランドです。
リエディのシューズボックスは接着剤不使用、配送袋は米ぬか油を使ったライスインキで印刷し、袋の素材は環境に優しい再生原料を40%使用しています。商品を包むOPPはバイオマス素材の切り替えを行っており、燃やしても有毒ガスが発生しません。
リエディは地球に優しいエコパッキングを心がけ、サステナブルな活動を行っています。
リーバイス
デニムで有名なリーバイスは、製品を作る上で可能な限り水を節約する取り組みを行っています。
本来デニムを1本製作するには、綿の栽培から染色、仕上げに渡って合計約7500リットルの水が必要だと言われています。リーバイスでは、全体の約40%の製品をウォーターレス技術により生産しているため、約10億リットルもの水を削減することに成功しました。
また、リーバイスが行うサステナブルな活動は水だけではなく、古着の回収や化学物質の排出抑制、素材の開発はもちろん、原料調達の児童労働やサプライチェーンの労働条件改善まで、多岐に渡る取り組みを行っています。
NIKE
NIKEでは、地球環境を守ることはナイキの使命と考え、取り組みにゴールを決めず、炭素と廃棄物の排出をゼロにすることを目指し、スポーツの未来を守る「Move to Zero」という取り組みを行っています。
NIKEでは多くのサステナブル商品が生産・販売されています。
例えばすべてのNike Airソールには製造廃棄物をリサイクルした素材が50%以上使用されており、製造には100%再生可能エネルギーが使用されています。さらに、クッショニングシステムでは、Airソールの製造過程で廃棄された素材が90%以上再利用されているのです。
他にも、プラスチックボトルを再利用した再生ポリエステルを利用した製品、再生レザー繊維を50%以上使用した製品、持続可能なオーガニックコットンを利用した製品など、多くの製品にリサイクル素材やオーガニック素材を取り入れています。
サステナブルファッションへの意識は消費者側にも
サステナブルファッションへの意識は、ファッションブランドだけではなく、消費者側にも求められています。なぜなら、小さなことの積み重ねであっても、私たち一人一人がサステナブルファッションに意識を向けることによって、ファッション業界における衣料品の大量生産、大量廃棄されることを防ぐことができるからです。
例えば、フリマアプリなどでリユース商品を活用することや、ブランドバッグなどのレンタル商品を活用することは、ごみの削減にもつながります。他にも、ハンドメイド商品やリサイクル商品を活用することで、物を大切に扱うようになるというように、意識にも変化をもたらしてくれます。
サステナブルを意識した人気ブランドの商品をチェックしよう
今や多くのブランドでサステナブルを意識した商品が販売されるようになりました。私たちの身の回りにあるブランドでもサステナブルな取り組みが行われています。
ファッション業界は日々進化し、地球環境や社会問題に配慮した活動を行っています。ぜひ私たちも、サステナブルファッションに目を向けてみましょう。