アラブ首長国連邦(UAE)ドバイのブルジュ・ハリファ(Burj Khalifa)は、高さ約900メートルと世界で最も高い超高層ビルで知られています。その不動産開発者のエマールグループ(Emaar Group)が、「エマール・コミュニティー・トークン(Emaar community token)」と呼ばれる独自トークンを2019年末までに発行すると発表して話題になっています。さてそのトークンはどのようなものなのでしょうか?
イーサリアム(ETH)ベースのエマールトークン
エマールグループは、UAE最大手の不動産開発者ですが、2019年3月11日にエマール(Emaar)トークンを発行する計画を発表しました。このトークンはまず第1に、19年末までの同社顧客とパートナーに限定して販売されるそうです。もちろんグループの最終目標は、一般投資家に開かれた本格的なICO(イニシャル・コイン・オファリング)です。
エマールトークンは、エマールグループとスイスの仮想通貨スタートアップ企業リッケ(Lykke AG)と提携して発行されます。エマールトークンは、イーサリアム(Ethereum)ベースのブロックチェーン上で作成されますので、イーサリアムの規格であるERC-20 標準プロトコルに準拠します。
リッケによると、エマール・コミュニティー・トークンに適用される技術は、同社が開発した大量市場での利用を想定した最先端技術インフラを利用しています。
トークンはブルジュ・ハリファなどエマール所有施設で利用
エマールグループが発表したプレスリリースによると、発行されるトークンは、同社の顧客サービスであるロイヤルティシステムの一環であり、ビジネス計画推進に関係する人々への報酬として譲渡されるそうです。
トークンを受け取った顧客は、ショッピングモールや娯楽施設、オンラインショッピングサイトなど、エマール所有のビルならどこでも使用できます。トークンはとりわけ、世界第2のモール(ドバイモール)やブルジュ・ハリファ、ドバイオペラ(Dubai Opera)、世界最大の噴水ショーであるドバイ・ファウンテン(Dubai Fountain)でも利用することができます。
グループの不動産事業エマール・プロパティーズ(Emaar Properties)のモハメド・アラバル(Mohamed Alabbar)会長は「われわれは事業の手を広げ、成長を強化し、エマールの経験を拡充する努力を続けている。エマール・コミュニティー・トークンは、当社のデジタル移行への旅における大きな飛躍である」と説明しています。
また、提携企業リッケのリチャード・オールセン(Richard Olsen)創業者兼CEOは「われわれはすべてのモバイルユーザーやインターネットユーザーが、規模の大小にかかわらず、経済活動に参加することができるとの信条を支援するため、大量市場の有用性を目的とする最新の技術的インフラを開発した」と語りました。
エマールグループは急速に収益伸ばし世界大手不動産企業に成長
エマールは世界大手不動産企業として認められ、2018年の収益は前年比38%増の70億ドル(約7,700億円)に成長、ブランド価値は39%高まって27億ドルと評価されています。エマールはUAEと主要な国際市場に約16億平方メートルの不動産を所有しています。
同社は2002年以来、ドバイと世界市場に5万1,800の住宅ユニットを建設、所有するほか、総数3,939ルームの19のホテル&リゾートを生み出しています。エマールの収益の約40%は、ショッピングモールと小売店、ホスピタリティ&レジャー施設から生まれています。
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参考
・Emaar Group