破産した世界最大手仮想通貨(暗号資産)ヘッジファンド”スリー・アローズ・キャピタル(Three Arrows Capital=3AC)”の創設者で元CEOのス・ジュー(Su Zhu)が現地時間2023年9月25日にシンガポール警察に逮捕されたと破産処理を行っているテネオ(Teneo)が発表した。

ス・ジューは同社破産後に雲隠れしており、破産から1年以上経過したいまも処理が難航していた。

関連記事:【墨汁速報】破産の仮想通貨ヘッジファンド3ACの資産凍結 スリーアローズの創業者は雲隠れ

3ACの元CEOをシンガポールで逮捕

破産した3ACとして知られる”スリー・アローズ・キャピタル”の清算処理を行っているテネオ社(Teneo Restructuring)によると、同社元CEOで創業者の一人でもあるス・ジュー(Su Zhu)容疑者がシンガポールの空港から海外に渡航しようとしている時に警察により逮捕されたと発表した。同社によるとスリー・アローズ・キャピタルの清算における調査に協力せず、雲隠れしていたス・ジューの収監命令を破産裁判所に提出しており、今回の逮捕によりス・ジューはFTXの元CEO、アフロことサム・バンクマン=フリード(Samuel Benjamin Bankman-Fried)容疑者と同様に4ヶ月刑務所に収監されることになるという。

2023年9月に入りス・ジューはシンガポール中央銀行により9年間の事業活動を禁止処分を受けており、破産後に即座に雲隠れしていたため所在が不明だった。またもう一人の創業者であるカイル・デイビス(Kyle Davies)にも同様の収監命令が出されているものの、依然として行方は不明だとされている。

関連記事:FTXがZROトークンに関してレイヤーゼロに資金返還を求める訴訟を起こす

仮想通貨の冬が長引いている理由

今回の逮捕により仮想通貨の冬を引き起こした仮想通貨取引所及び仮想通貨企業の主要人物がほぼ全員逮捕されたことになる。まずことの発端となったのは仕組みに欠陥を抱えていたアルゴリズミック・ステーブルコインのUSTを発行するテラ(Terra)の崩壊で、一夜にして無価値になったことで莫大な損失をかかえたスリー・アローズ・キャピタルは破産。この影響で仮想通貨レンディング企業のセルシウス(Celsius)が経営破綻、後に自社の仮想通貨トークンのCEL価格操作など数千億円を超える損失が発覚した。また同様に破綻したFTXグループのヘッジファンド”アラメダ・リサーチ(Alameda Research)”もこのテラ崩壊とスリー・アローズ・キャピタルの破産から損失をカバーできなくなり、顧客資産に手を付け始めたとされている。

そしてこれらの影響で仮想通貨レンディング企業最大手だったブロックファイ(BlockFi)やボイジャー・デジタル(Voyager Digital)、ジェネシスも破産したことから巨額の資金が破産処理で凍結されているのが仮想通貨の冬が長引いた理由だろう。

関連記事:【墨汁速報】米司法省バイナンスとCEOに仮想通貨マネーロンダリング関与の疑いで刑事告訴か

”仮想通貨の冬”を引き起こした主要人物が全員逮捕へ

今回の逮捕によりこれらの仮想通貨の冬を引き起こした主要人物がほぼ全員逮捕されたことになる。

2022年12月13日:サム・バンクマン=フリード(FTX元CEO)逮捕

2023年3月23日:ド・クォン(テラ元CEO)逮捕

2023年7月13日:アレックス・マシンスキー(セルシウス元CEO)逮捕

2023年9月25日:ス・ジュー(3AC元CEO)逮捕

となっている。

一方でブロックファイ(BlockFi)は自社のリスク管理をCEOのザック・プリンス氏が役員権限で強制したことからFTXに約10億ドル(1500億円)を超える債権を抱えて破産したが、現状上記元CEOのような犯罪やそれらに関わる容疑には問われておらず、ボイジャー・デジタルも同様だ。

一方でバイナンスのCEO、チャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao)氏は過去のロシアなどのサービス提供におけるマネーロンダリングの容疑に問われているとされており、米司法省が刑事告訴するのか司法取引をするのか不明な状態だ。FTXの破綻は3ACや顧客資産に手を付けたことなどが原因ではあるが、トリガーを引いたCZ氏も外堀を埋められており窮地に陥っていると言える。

コラム:1億円近い仮想通貨を失いかけた驚愕の理由

 

▼仮想通貨(暗号資産)の仕組みや技術、規制の市場影響を勉強するなら「墨汁うまいと学ぶ仮想通貨の世界」!他では見ることができないより詳しい内容を投資家向けにわかりやすく解説

墨汁バナー

墨汁うまいと学ぶ仮想通貨の世界

The post 【墨汁速報】”仮想通貨の冬”を長引かせた主要人物が全員逮捕へ 相場復活のきっかけとなるか? first appeared on CoinChoice(コインチョイス).

おすすめの記事