- 日本の医療や製薬業界でブロックチェーン活用
- 日本の医療や製薬業界で、ブロックチェーンの活用が始まろうとしている。日本IBMが率いる、「安全、効率的、かつ規模の拡大を目的としたプラットフォーム」の構築に、大手製薬会社が参加、2019年内には実証実験も目指す。
日本の医療や製薬業界でブロックチェーン活用開始へ
日本IBMは28日、医薬品などのサプライチェーンや医療データ交換などに関するブロックチェーン技術活用に向けたプラットフォームの構築を行うことを発表した。医療・製薬業界における安全、効率的、かつ規模の拡大に対応できる情報交換の仕組みの構築を目標に、製薬企業や医療団体など20の企業や団体が参加する。実証実験も2019年内に実施することも目指す。
探索などの初期段階で留まるものではなく、業界横断的な課題の解決や新たなビジネスモデル構築を推進する実用的な実証実験に取り組む意向を示した。本格的なブロックチェーン活用を念頭に実験を行うという。
参加企業には、武田薬品工業や、アステラス製薬、第一三共など製薬会社大手企業がリスト入りしており、大規模な取り組みであることが見て取れる。
人の健康や命にも関わる医療・製薬業界では、信頼性の高いデータに対して素早く安全にアクセスすることが可能になるブロックチェーン技術の活用に大きな注目が集まっているという。
検討領域としてあげられている例には、医薬品などのサプライチェーン領域やEHR/PHRなどの医療関連データ・プラットフォームへのブロックチェーン技術の適応があり、まずはブロックチェーン技術の適用に関する調査研究や、新たなビジネス事例の情報共有を行う。
サプライチェーンとは
サプライチェーンとは、製品の原材料・部品の調達から、製造、在庫管理、配送、販売、消費までの全体の一連の流れ。 この流れをブロックチェーン技術の応用で追跡する仕組みなどがモデルとして注目されている。
参加企業からは、すでに国外で進む医療・製薬業界のブロックチェーン技術検討に日本が本格参入できる点や、新たなビジネスモデルを構築できる点で高い期待感を示すコメントが寄せられている。
IBMとブロックチェーン
IBMは、ブロックチェーン領域においても、世界的にプロジェクト推進力で高い評価を得ている企業だ。日本IBMの事業部長である髙田充康氏も、複数分野のブロックチェーン活用実証実験で本格運用にシフトしているものは多くあると語ってる。(JBA2019)
本格運用にシフトしている分野として挙げられたのは、国際貿易や食の安全、貿易金融で、金融やサプライチェーン、データ管理分野に早期からの注目が集まり、活用事例が議論されてきたことがわかる。
今回開始される医療・製薬業界でも注目されるのが安全性の確保を可能とするサプライチェーン分野やデータ管理の応用事例であり、信頼性や正確性が重要視される業界の企業から高い関心が寄せられている。
医療領域と同じく、サプライチェーン、またトレーサビリティで安全性を確保するブロックチェーン技術の活用例として挙げられた「食の安全」では、3年も前から中国国内の豚肉をトレーサビリティを通して透明化する目的の実証実験が行われていたという。(中国の清華大学と一部の豚肉加工企業などが参加)
食の安全性に関するブロックチェーン活用事例としては、食材劣化に伴う食中毒などを防ぐ確率をあげるほか、紙管理が行われるデータの電子化と証明管理、個別の食材の鮮度を分析できるなどができるようになる成果が見込めるようだ。なお、消費者のアプリを通して消費する食に信頼性をもたらす動きにも繋がるとしている。
水面下で議論が進むブロックチェーンの活用事例、実際に目に見えた変化は感じることは難しいかもしれないが、着実に私たちの生活を支える新たな技術として開発・研究が進められている。
大手企業が動き出した今、実際の生活で一般利用される未来も近いかもしれない。
IBMの全文はこちらから:www-03.ibm.com