野村証券や大和証券、SMBC日興証券といった国内大手証券会社の間で、暗号資産(仮想通貨)交換業への参入を視野に入れた動きが静かに広がり始めています。これまで株式や債券を中心に事業を展開してきた証券各社が、デジタル資産という新たな分野に本腰を入れようとしている様子がうかがえます。

野村ホールディングスは、2025年12月に設立された一般社団法人「日本デジタル分散型金融協会」に正会員として参加しました。暗号資産やステーブルコイン、分散型金融(DeFi)をめぐる制度や実務を議論する場に、設立当初から名を連ねたことは、同社の本気度を示す動きといえそうです。

グループでは、デジタル資産事業を担うLaser Digital HDの取り組みも続いています。CEOのJez Mohideen氏は、機関投資家の仮想通貨取引ニーズに応えたいと語っており、日本市場における法人向けサービスの拡充を見据えています。

関係者の話や報道によれば、Laser Digital HDは、国内の金融機関や法人顧客向けにサービスを提供するため、金融庁への暗号資産交換業者登録を視野に準備を進めているとされています。業界団体への参加と並行し、事業化に向けた下地づくりが着実に進んでいる状況です。

現時点で公表されているのは、協会参画の発表と、登録準備に関する報道に限られます。申請時期などの具体像は明らかになっていません。ただ、日本市場を見据えた体制づくりが水面下で進んでいることは確かでしょう。

大和証券グループ本社やSMBC日興証券についても、暗号資産交換業への参入や専門部署の設置を検討しているとの声が聞かれています。公式発表はないものの、デジタル資産が経営課題の一つとして議論されていることは想像に難くありません。

背景にあるのは、機関投資家の関心の高まりと、市場の成熟です。暗号資産は投機的な存在から、徐々に金融インフラの一部として認識されるようになりつつあります。将来的な制度整備への期待も、各社の動きを後押ししています。

今後注目されるのは、実際に交換業登録へ踏み出す企業が現れるのかどうかです。様子見が続くのか、それとも誰かが最初の一歩を踏み出すのか。大手証券の判断は、日本の暗号資産市場の行方を占う重要な分岐点になりそうです。

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