決済大手Visaの暗号資産(仮想通貨)部門「Visa Crypto Labs」は3月18日、AIエージェントがコマンドライン上で支払いを実行できるベータ版ツール「Visa CLI」を公開しました。
責任者のクイ・シェフィールド氏がX(旧Twitter)で明らかにしたものです。
Visa CLIは、AIエージェントやボット、スクリプトが決済機能を組み込みやすくする実験的なツールとして提供されています。
Visa CLIの特徴は、開発者が従来のAPIキー管理に頼りすぎず、プログラム型の決済を扱いやすくする点にあります。想定されている用途としては、画像生成APIの利用料支払いや、有料データフィードの取得など、AIが外部サービスを自律的に利用する場面が挙げられています。
現在はGitHubアカウントを通じた申請制で利用できる形です。
Visa、MPP参画でAI決済にカード対応拡大
Visaは同日、ストライプとテンポが進めるオープン規格「Machine Payments Protocol(MPP)」の設計パートナーとして参画したことも発表しました。あわせて、Visaのネットワーク上でMPPに対応したカード決済を可能にする仕様とSDKも公開しています。
Visa公式ブログによると、これは信頼できる自律エージェントによる支払いに、Visaのカードネットワークを接続する取り組みです。
MPPは、AIエージェントがサービスや計算資源などのリソースを要求し、提供側が支払い条件を提示し、エージェントがその場で決済を完了してサービス提供を受けるまでの流れを標準化する仕組みです。
Visaの今回の動きは、この標準化の流れの中に既存のカード決済を持ち込むものといえます。
Visaのパートナーシップスを務めるルバイル・ビルワドカー氏は、自律型エージェントが意思決定し、リソースを移動させ、サービスの支払いまで行う時代に入りつつあるとしたうえで、こうした決済の拡大にはセキュリティが不可欠だと説明しています。
AI決済規格x402先行、Visaはカード決済で補完
AIエージェント向け決済の分野では、コインベースとクラウドフレアが進める「x402」も先行しています。
x402はHTTPの「402 Payment Required」を活用し、クライアントとサービスが追加のアカウント登録やAPIキー前提ではなく、インターネット上で価値をやり取りしやすくすることを目指すオープン標準です。
そのため、Visaの今回の取り組みはx402への単純な対抗というより、AI決済の標準化が進む中で、カードネットワーク側の存在感を高める動きとして捉えるのが自然です。Visa自身も、MPP向けのカード仕様は既存のエージェント決済規格を補完する位置づけだと説明しています。
今後は、即時性やオンチェーン性に強みを持つステーブルコイン系の決済レールと、既存の加盟店網や商流と親和性の高いカード決済レールが、用途ごとに使い分けられていく可能性があります。
AIエージェントが単なる情報処理にとどまらず、外部サービスの購入やデータ取得まで自律的に行う流れが広がる中、MPPとx402がどう使い分けられるのか、そしてカード決済とステーブルコイン決済がどのように役割分担していくのかが今後の焦点となりそうです。
参考元:Visa公式記事
画像:shutterstock
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