ブロックチェーンや暗号通貨の投資における2019年4月の動き

2017年にイニシャル・コイン・オファリング(ICO)ブームが過ぎ、ベンチャー・キャピタル(VC)やファンドが、暗号通貨・ブロックチェーンに積極的に投資をすることが目立ち始めたのが2018年です。それらのファンドは2019年に入ってどのような動きをしているか、詳細な数字がサークル・リサーチ(Circle Research)によりまとめられているので、いくつかピックアップします。

ファンドタイプ、新しくローンチをするファンド

センタリング
出典:Circle Resarch

一般的にファンドと呼ばれるものは、流動性アセット売買をするヘッジファンド、スタートアップの株式にもロングタームで投資するVCファンド、未公開株式に投資をするプライベートエクイティなどに別れます。ブロックチェーン領域においては、ヘッジファンド・VCが多数を占めており、プライベートエクイティは少数という構成ですが、この図式は変わっていません。今年、新しくローンチをするファンドの予想値は、前年比から大幅に下がる見込みで、239から145(予想値)にまでなるとしています。

ファンドがマネジメントする暗号通貨の総量の変化

クリプトファンドグラフ類
出典:Circle Resarch

また、クリプトファンドの過半数は1,000万ドル(約11億円)以下の金額をマネジメントする小規模なファンドです。1億ドル(約110億円)以上をマネジメントするようなファンドは、全体の5%です。メディアで多く登場をするアンドリーセン・ホロウィッツ・クリプト(a16z Crypto)、マルチコイン・キャピタル(Multicoin Capital)、ポリチェーン・キャピタル(Polychain Capital)などはここに含まれます。

2019年4月時点で、ファンドがマネジメントする暗号通貨の総額は、14億4,000万ドル(約1,584億円)と見積もられています。これらには含み益や、ICOのプレセール時に投資をしてロックアップしたものも含まれているであろうことは留意しておくべきでしょう。

特にVC投資が活発な事業領域

特にVC投資が活発な事業領域として、ブロックチェーンデータ分析のセクターが挙げられています。

VC投資企業
出典:Circle Resarch

これらの企業は、マネーロンダリング対策(AML)にて必要性が高くなっており、特に2018年から多くの企業が注目されています。公開されているブロックチェーンの台帳から、犯罪に関する高い可能性を持つような怪しい暗号通貨アドレスを選定し、アクティビティを追跡します。そして、それらの情報を各取引所事業者に共有をするというモデルです。SaaS形式で販売して、月額で費用を徴収するという事業モデルを採用するという企業が中心です。

現在、暗号通貨の世界では、従来の金融システムで使われていたものとは異なる技術形式で、従来のAML要件を求められていると言えます。この上で、さらにセキュリティ・トークン・オファリング(STO)の市場が大きくなると、これらのブロックチェーン分析企業の事業範囲はさらに広がるでしょう。

また、ニュートリノ(Neutrino)がコインベース(Coinbase)に買収されたように、大手取引所はこの業務をインハウスで行いたいという動機もあることから、業界の3番手や4番手であっても、M&Aの買い手の見込みが多い点で、スタートアップが取り組むには良い分野ではないかとも思います。現在投資が集まっているその他の分野については、こちらのレポートでも解説しています。

まとめ

以上が現在のクリプトファンドの概況です。現在のマーケットを牽引するのはこういったファンドの存在であり、その動向については、個人投資家も知っておくべきだと言えるでしょう。

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参照
Circle Resarch


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