ビットコイン(BTC)価格高騰を陰で演出したのは中国人投資家か?

中国は米国との激しい貿易戦争に突入し、人民元の国際的地位が下落するという苦境に陥っています。中国人民銀行はこのところ、毎日のように対ドル為替レートの基準値を下げており、2019年5月15日には1ドル=6.8649元にまで引き下げました。20日のFX市場の米ドル人民元は、1ドル=6.9420元と続落です。利にさとい中国人投資家は、安全な避難場所を求めて、人民元をビットコイン(BTC)に交換する動きを強めています。

ビットコイン(BTC)の価格・相場・チャート

ビットコイン(BTC)価格上昇は人民元の対ドル下落と密接に関係

トランプ米大統領が、新たに多数の中国製品にかける関税を10%から25%にすると発表した5月10日、ビットコインの価格は約70万円から上昇、20日朝現在約90万円にまで高騰しています。

ビットコイン価格の上昇は、人民元の対ドル下落と密接な関係にあると見られています。人民元は過去2週間に対ドル為替レートで2%も下落しています。人民元は5月12日の1週間に、過去4カ月で最大の下落となりました。利にさとい中国の投資家たちは当分の間、人民元の価値の下落が続くと予測し、人民元に対する信頼を失い始めています。

米CNBC放送(5月13日)によると、大手ブローカー・ディーラーであるナショナ・アライアンス・セキュリティーズ(National Alliance Securities)のアンディ・ブレナー(Andy Brenner)国際債券部長は「中国で企業展開したいと思えば、短期的にはビットコインが人民元の代替手段になると考えるのが合理的だ。誰がビットコインを買っているか明白ではないが、最近の流れは対ドル人民元の価値が大きな下げ局面と一致していると見ることができる」と分析しています。

ビットコイン(BTC)が米中貿易戦争に勝利し、両国は共に損失

米国のブロックチェーン関連への投資を行うプリミティブ・ベンチャーズ(Primitive Ventures)のドヴィー・ワン(Dovey Wang)共同創業者は、ビットコインと対ドル人民元の為替レートとの間の比較を例に挙げて、「恐らく偶然の一致かもしれないが、教えてもらいたい。ビットコインは貿易戦争に勝利しつつあり、米中両国は共に損失(loose-to-loose)を被っている」のかとコメントしています。

米フォーブス(Forbes)誌は、ビットコインだけでなくステーブルコインの需要もまた鋭く高まっており、より一層多くのアジアの投資家が、米ドルと連動した仮想通貨のテザー(Tether)を使って中国や香港から資金を他国に移していると伝えています。

これら取引の多くは、OTC(店頭市場取引)もしくはバーチャルプライベートネットワーク(VPN)を介して実行されています。従って、中国における大きな取引活動を正確に把握することが難しいのが現状です。

中国の投資家はWeChat上で仮想通貨取引?

香港のOTCブローカーOSLのデーブ・チャップマン(Dave Chapman)会長によれば、これら仮想通貨取引量の約20%は、中国に発祥しているといいます。同氏は「中国のOTC取引の大部分がウイーチャット(WeChat)上で行われている」と話しています。

IBMのジニー・ロメッティ(Ginni Rometty)最高経営責任者(CEO)は5月16日、CNBCとのインタビューに応えて、米中貿易戦争はデジタルデータの自由な流れを脅かしていると警告を発して、次のように語りました。

「このようなことは解決されるのが望ましい。しかし同時に、関税や物理的商品に関するすべての協議について、解決されなければならないことは、デジタル化された取引に関わるルールであろう。さらにもっと重要なことは、国境を越えたデータの自由な流れでデータの局所化ではない。これら非常に重要なすべての問題に取り組み、貿易交渉がそれに応えることを期待している」と述べています。

ビットコイン(BTC)のリアルタイムチャート

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参考
THE DAILY HODL
CNBC

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