【スマホひとつで旅するように暮らす】アパートメントサービス「OYO LIFE」代表 勝瀬 博則氏インタビュー

敷金・礼金・仲介手数料なしで家具家電付きの部屋に即入居ができる賃貸サービス「OYO LIFE」。基本的に支払うのは家賃と共益費のみ、スマホひとつで入居可能というシンプルなサービスが特徴です。
3月にサービスを開始したばかりですが、コンセプトの「旅するように暮らす」を体感できると早くも話題になっています。
今回はこの「OYO LIFE」を運営するOYO TECHNOLOGY&HOSPITALITY JAPAN株式会社の勝瀬博則CEOにお話を伺いました。

「クオリティリビングスペースの提供」がOYOのミッション

―本体のOYOはホテル事業がメインのイメージでしたが日本で賃貸サービスを開始した理由を教えてください。

多くの方がOYOはホテルの会社と思われていますが、OYO自身は「ホテル専門の会社」とは、実は一度も言ったことがありません。我々のミッションは「クオリティリビングスペースを提供する会社」と公表しています。

クオリティリビングスペースとは1)良いロケーションで、2)快適な空間で、3)納得できる価格の3つでできています。これは日本であろうが、アメリカであろうが、インドであろうが変わりません。
このミッションを考えた時、出発点がホテルだったということです。

―勝瀬さんご自身がオンライン宿泊サイト、ブッキング・ドットコムでご活躍されていたことも関係しているのでしょうか?

そうですね。ブッキング・ドットコムにいたときから、「賃貸にもこのサービスは応用できる」と思っていました。
ホテルの場合、ネットで予約して宿泊の当日にホテルへ行くと、快適に過ごせるように室内が整えられている。そしてチェックアウトの時に決済になりますよね。これが普通のホテル体験。

しかし、今までの賃貸住宅の貸し方で運営される「不動産ホテル」があったと仮定するとその顧客体験は大きく違うでしょう。まず予約はネットではできず、近くの代理店で契約を結ぶ必要がある。
さらに前払いで、敷金、礼金、個人情報、保証人も必要です。宿泊代金は1万円ですが、初期費用で5万円以上払う必要があります。

ようやくの思いでお部屋にチェックインしたら、お部屋には家具も、カーテンもなく、電気や水道も通っていない。手順が記載してある紙だけおいてあって、自分で手続きをしないとならない。
これが「不動産ホテル」です。このようなホテルに宿泊したいでしょうか?

ホテルはITアップしていかないと稼働率が上がらない

―ほかにも賃貸不動産に目を付けた理由はありますか?

ブッキング・ドットコム在籍当時、もうひとつ思ったのがホテルと賃貸のマーケットの大きさの違いです。
ホテルは1.2兆で賃貸は12兆。ITが入っているものと全く入っていないもの。同じ不動産なのにここまで違うのか?と。
「もしこれからITアップするのなら、ホテルの不動産よりも賃貸不動産」と気づきました。

ホテルにとってデマンドが大変重要です。ホテルは毎日客室が余っていて、毎日売らなくてはなりません。それゆえにITアップしないと稼働率が上がらないから、他社のサービスを使ってでもITアップしたい。

賃貸不動産、特に都市圏は昔から供給過剰じゃなくて、需要過多です。供給が少ないですから。今、東京では98%ほど埋まっています。
でもこれから人口は減っていきますよね。年間30万人減っています。しかし、新規住宅着工数は90万室あります。ということは、2018年は120万室の差分があったということです。これがこれから続きます。賃貸不動産は今後、余っていくわけです。

人の生活パターンも「所有から利用へ」と変わってきている中で、サブスク型生活への興味が高まってきています。

OYO LIFEは「不動産のAmazon」

―昔からある、マンスリーマンションとの差別化はどう考えていますか?

私たちは自分たちを「不動産のAmazon」と呼んでいます。Amazonで売っているものは、どこでも買えるものが大半ですよね。電球も買えるし、松葉ガニも買える。どれもスーパーでも買えます。
私たちも同じで、マンスリーマンション、家具付き不動産、家具付きマンションはどこにでもあるサービスであり、そこに特別なものはありません。
不動産を販売している多くの方は、物件の魅力を高めることに力を入れています。
それは決して間違いではないですが、同じような物件や条件がたくさんある中、必ずしもそれだけで売れるでしょうか。

Amazon独自のサービスとして、スマートスピーカーのAlexaや Fire TV Stick、電子書籍のkindle。それからアプリがありますよね。
すべて共通しているのは、「発注方法」です。
声で発注、指で発注。それはテレビやスマホ、PCでも共通しています。なぜかというと、とても便利だからです。
例えば料理をしていても、声ひとつで買うことができますし、ウェブサイトでもクリック一つで買える。これがOYO LIFEで言う「スマホ契約」ですね。

それから、AmazonはAmazonプライムというサービスがありますよね。加入すると、ビデオや写真サービスなど様々な特典が受けられる。

―OYO LIFEでいう家具レンタルや家事代行などのサブスクリプションサービスを利用できるOYO PASSPORTですね。

そうです。そしてもう1つ、Amazonが力をいれてるのが「配送方法」です。
Amazonは仕入れから販売、配送までをすべて担う垂直型のサービスです。
1回の発注ごとに配送コストがかかってしまいますが、なぜコストをかけてまでこういったサービスにしているかというと、お客様のために在庫管理をしていて、その商品があるかないかを自分たちで確認できるからです。
しかも最後まで届けることに対して、責任も持っている。

―不動産の場合、仕組みはどのようになっていますか?

不動産や賃貸不動産の場合、直接物件に行っても借りることはできません。元付けの不動産を通さないと在庫の状況が分からない状態になっています。
例えば賃料10万円の物件があったとしても、10万円を不動屋さんへ持って行き、「この部屋に入居したい」と言っても絶対入れません。
例えば税込1万円のホテルに1万円持って行ったら、泊まれますよね。なぜ賃貸不動産はこんなに複雑で分かりにくいのか。
特に初期費用が高いのは、利用者をとても混乱させますよね。

OYO LIFEはスマホの購入システムと同じ

OYO LIFEはスマホの支払料金と同じで支払いシステムになっています。ある程度の一定額の初期費用がかかっても、月額はローコスト。
例えば最新のスマホを月額6,000円で3ヶ月使った後、年契約の縛りがなく、また新しい機種に変更できるとなったらどうしますか?

―機種変更します。

OYO LIFEがやっているのは、まさにそういうことです。
日本では借りる人の権利が強いため、貸す側の大家さんはできるだけリスクがないように、敷金・礼金を加算したり個人情報を調べて保証人をつけたりと、できる限りのことをします。
でもOYO LIFEの場合、代わりに私たちが借りるから、大家さんにとってもメリットが多くなります。
借りる側にとっても少しの間そこに住んで、自由に使えるという便利さがあります。家具もついていますし。

―OYO LIFEで大家さんに従来通りの借り方をしているから、ユーザーは毎月決まった料金を支払うだけ、という仕組みができるわけですね。

暮らしに必要なものがすべて揃っている魅力

―OYO LIFEのインテリアはマンスリーマンションやビジネスホテルと比べてもおしゃれな印象を受けました。こだわっているところはありますか?

やはり「クオリティリビングスペースを提供する」がやりたいことですから、できるだけキレイな部屋、快適な家具を提供したいと思っています。
それと毎日住むものなので、華美なものは避けています。
住むのに最低限必要なものを私が選ぶとすると、ベッド、冷蔵庫、Wi-Fiです。あと電気、水道。ここも必須ですよね。
住むのに必要なものがミニマムに早く届く仕組みを作る。そしてそれに対して様々な特典をつけている、というのがOYO LIFEのやっていることです。

日本のシェアリングエコノミーサービスは、いかに最初のハードルを下げるかが鍵


―日本のシェアリングエコノミーサービスは、どのタイミングで爆発的に流通すると思いますか?

タイミングは分からないですが、少なくともOYO LIFEはかなりお手伝いできるのではと思っています。
シェアリングエコノミー向けのサービスは、初めて利用する際のハードルが高いため、そのハードルをいかに下げるかが鍵ですね。

OYO PASSPORTは、OYO LIFEを利用するとシェアリングエコノミー系のサービスを1ヶ月無料で試せる仕組みになっています。
引越しをした際、身の回りの物が届いていない場合が多いですよね。それから新生活だし、ちょっと試してみようか、と気持ちの面でもハードルが下がると思います。

加えて、そもそもOYO LIFEに入居した方は、物を持たなくていいと考えている人たちです。
そういう方たちに対して、OYO PASSPORTを通じてどんどん新しいシェアリングエコノミーのサービスを経験してもらう。
それで経験してもらえるとサブスクライフが増えていき、シェアリングエコノミーをエンジョイする人たちは居住者の増加とともに増えていく。

―確かに住んでから1ヵ月無料で色々なサービスが試せるとなったら、敷居は一気に低くなりますね。

でも1ヵ月無料で試して良かったとしても、契約の際にクレジットカード情報を求められると、そこから先に進まない人は多くいます。
OYO LIFEの場合、物件の契約時にすでに情報をいただいているので、新たにクレジットカード情報を渡す必要はありません。
OYO LIFEをきっかけに、シェアリングエコノミーのユーザーを増やしていきたいですね。

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