- BitfinexがNYAGの主張を否定
- 取引所Bitfinexは23日、新たな返答を裁判所に提出し、NY司法当局の主張を『否定』する反論内容が明らかになった。資金不正利用の疑惑での裁判沙汰に新たな進展になるか。
Bitfinexの反論
取引所Bitfinexは23日、新たな返答をニューヨーク最高裁へ提出した。
Bitfinexが米NY州で営業していたことを指摘する内容として公開されたNYAG(NY司法当局)の摘要書に対する反駁となる。
返答内容では、「NY司法当局が主張する『ニューヨーク州の利用者』は、海外の適格な契約参加者(ECP)であった」と反論し、NY州住民への営業を指摘する摘要書の内容を否定した。
今回の内容を受けBitfinexは、29日より最高裁で行われるBitfinexの告訴取り消しの動議を審議する聴取に、本事案に関して否定の姿勢を維持する形で臨むこととなる。
Bitfinex側の主な反論を以下のようにまとめた。
- 司法当局が主張したNYの利用者は『海外の適格な契約参加者(ECP)』
- NY裁判所はBitfinexとテザー社に対する『人的裁判管轄権』を持たない
- NY裁判所はBitfinexとテザー社に対する『事物管轄権』を持たない
まず、Bitfinex側は反論の根拠として、『海外の適格な契約参加者』のみ利用しているとの釈明の他、NYの住民には2017年1月よりサービスの提供を正式にシャットダウンし、同年8月からは全ての米ユーザーをサービス対象外にしていることを取り上げた。なお、2018年より米国本拠地の法人のすべてをサービス対象から除外しているとしている。
さらに、Bitfinexは、ステーブルコインUSDTは「有価証券でもなく、コモディティでもない」との主張を元に、NYAGの管轄権と主張が無効であると訴えている。
今回のBitfinexの反論は、今月29日に控える「Bitfinexに対する告訴の取り消し要求を審議する」最高裁の聴取実施に向けた法廷準備と考えられる。資金の不正利用などを巡り、NY州住民への営業停止を求められている裁判に関して、29日に控える裁判内容に注目が集まる。
Bitfinexとテザー(USDT)、またビットコイン市場価格との関係性は、長い間不透明な部分が多く、業界の懸念材料の一つになっているが、29日からの裁判がどのような結果をもたらすか、市場にどのような影響を与えるか、投資家や有識者などは状況を見定めている。
NYAGとBitfinexの裁判沙汰など、状況を整理したタイムテーブルは以下にまとめる。(米国時間表記)
- 4/25:NYAGがBitfinexに対し、USDT準備金の不正利用として、NY州における営業の停止を求める
- Bitfinexは、この指摘を全面否定
- 5/3:NYAGがBitfinexに対し、財務書類の開示要求
- 最高裁がテザー社とBitfinexに対し一時的な準備金の移動禁止を発令
- 5/16:証拠不十分として、最高裁がその禁止を一部解除; Bitfinexが告訴の取り消しを求める
- 5/18:Bitfinexがアクセス不可能となった資金を補うため、LEOトークンのセールを行い、約1100億円を調達成功
- 6/2:Bitfinexがテザー社に対し、1億ドルを返済した
- 7/8:NYAGは、Bitfinexとテザーが2015年よりNY住民に提供をしていたとして、最高裁にその管轄権を主張する摘要書(Memorandum of Law)を提出
- 7/22:BitfinexがNYAGの主張(摘要書)に対するリスポンス(書面上の返答)を行う
- 7/29:最高裁が、Bitfinexの告訴取り消しの動議を審議する聴取を実施