仮想通貨市況
ビットコインが1万ドルに復調に、イーサリアムの主導上げが影響した。2018年より低調続くアルト市場に復調の兆しが見える理由を考察した。

仮想通貨市況

仮想通貨市場は25日、ビットコインが1万ドルに復調。5日ぶりに大きく反発した。ビットコイン(BTC)は、意識されていた9000ドルまで落ちる前に、ショートカバーを伴い一時110万円まで急反発した。19:30時点では、109万円付近を推移している。

21日の戻り高値11100ドル(120万円)から再び転落したビットコイン(BTC)価格であったが、下降チャネルを上抜けた(①)ことで潮目が変わった。

6月下旬から7月上旬にかけて形成したペナント上限の延長ライン(緑)は、8日に上方ブレイクして以降の反落フェーズでも度々ワークしており、先日の反発時には逆三尊のネックラインとしても機能している。

現在の1h雲上限を抜けることができれば、次の関門は115.2万円付近(②)にある。26日(金)9:00には、112.5万円付近に4h雲ねじれをを迎えることになるため、続伸した場合はその辺りの時間軸が意識される可能性も考えられる。

アルト主導上げの重要性

なお、今回の相場上昇はイーサリアムが先行し、久しぶりにアルト主導上げの状況が確認された。

現在の仮想通貨市場には勢いがない。投資家の多くがそのように感じる状況には、ビットコイン上昇の恩恵を受けずに低迷するアルトコインの状況がある。

ビットコイン相場は2019年に20日移動平均線と75日移動平均線、200日移動平均線と、短期中期長期の全ての移動平均線でゴールデンクロスを確認。4月の20日・200日移動平均線のGCを皮切りに、大きく市場が急伸した。市場が急伸し始めた19年4月より、BTCドミナンスが大幅続伸、4月時点の50%から現時点で65%近くまでシェアを拡大している。

ドミナンスの推移から、今回のビットコイン上昇の恩恵をアルトコインが享受できていない状況が明らかになり、2018年の下落相場の影響から一般投資家の出戻りがないことが見えてきた。

世界的に規制整備が進み、大手企業や金融機関の参入も相次ぐ中で、市場に活気が戻らないのはなぜか?現在市場が置かれている状況とアルト主導上げの重要性を考察する。

ビットコインのドミナンス高水準を推移 アルト劣勢に

19年のBTC市場急伸の中で見られた傾向として、アルトコイン市場への影響が見られなかったことが挙げられる。ビットコインは18年の下落相場時よりドミナンス50%を底値に推移、19年の上昇相場突入と共にBTC一辺倒なドミナンスシェアを拡大させた。

アルトコインの台頭自体が2015年のXRP、2016年のETH、2017年のアルトバブルと、過去事例が乏しいことから、単純比較を行うこと自体は難しいものの、ビットコインが続伸するなかで、ETHやXRPといった主要アルトコインが劣勢に立たされたのは今回が初めてとなる。

主な要因と見られるのが、クリプト=クリプトペアでUSDT建が増加した点とフィアット建取引所で取り扱い銘柄が増加した点が挙げられる。この内容はUSDTに関する項目でも取りあげるが、株式市場などと異なり逃避資産先やヘッジ手段の乏しい仮想通貨市場では、これまで主要アルトコインがそれらの役割を果たしていた側面は強かったが、昨今の市場におけるUSDTペアの出来高増加に伴い、市場シェアが偏っていった可能性は否めない。

状況的に市場の出来高が細って行くなかで、明確な投資指標に乏しい市場では、リスク性が高く出来高の面でより厳しい状況に置かれているアルトコインに資金を入れくい状況になってしまった可能性が指摘できる。

この状況から、待ち望まれる値動きとして、主要アルトに市場を牽引できる通貨が出てくるか。過去のドミナンスからも一つの主要アルトが急伸後にアルトコインへのニューマネーの流入、かつ資金循環が起きているため、市場活性化の重要ポイントとなる可能性は高い。

ビットコインの派生商品が誕生する中で、金融商品として証券市場で取引されて行く流れは出てくる可能性があるが、ブロックチェーンを利用したユースケースの競争が起こるアルトコインとの新陳代謝は業界の将来的なスケールには必要な事項であると考えられるため、状況の緩和は多くの業界関係者が求めているといえるだろう。

今後、主要アルト市場が注目される可能性

現時点で厳しい市場状況に置かれるアルトコインだが、市場における目先の売り買い材料を見ていくと、主要アルトコイン市場に注目が集まる可能性が見えてきている。

2018年から19年にかけて、市場下落とともに多くのプロジェクトがPR活動から堅実な開発や提携のフェーズに移行した。

17年までの市場では将来性を謳うプロジェクトがICOを行い、その時点で実態が不透明な状況もニュマネーが集まる状況が続いていたが、資産流出に伴う派生ビジネスのセキュリティ懸念や51%問題など小規模チェーンにおける問題化を経て、市場への資金流入が細り、冬季目線のプロジェクトが淘汰されるフェーズが訪れた。

しかし、その中でもプラットフォーム系通貨をはじめとする「ユースケース」を明確に設ける仮想通貨は水面下で堅実な開発を行なってきた。

その中で、19年の後半より多くのプロダクトローンチや重要発表を控えている状況が訪れつつある。

例をあげれば多くあるが、目先の売り買い材料で注目される内容をリスト(日本で取引される主要通貨中心)するだけでも、以下のようなイベントが控えている。

逆にビットコインは目先の買い材料が乏しい印象だ。Bakktなど現物先渡し先物取引のローンチがサプライズ的に起こる可能性は十分に考えられるが、8月19日に控えるVanEck版ETF 次期判断期限も最終判断日時ではないため期待薄。一方、米上院で仮想通貨規制の公聴会(7月31日)、G7中央銀行の作業部会、仮想通貨対策の最終報告(10月)、FATF・対日審査(10月)と規制面に向けた警戒感が出る可能性がある。

より長期目線では、12月に自民党税制調査会における税制改正大綱が発表されるタイミングで、仮想通貨の税制改正が盛り込まれる可能性はある。税制改正を掲げる藤巻元参議院議員が落選したことで、市場の期待感は薄れている状況にあるが、JVCEAを始め業界団体より要望書が提出されたこともあり、希望も見られる状況にある。

直近の注意ポイントとしては、ライトコイン(LTC)の半減期がある。半減期を材料とした動きはすでに2ヵ月前より織りこんでおり、事実売りやハッシュレート下落を警戒する動きが見られる可能性はある。

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