大手仮想通貨取引所の87%は取引量を過大申告しているって本当?

ブロックチェーン透明性研究所(Blockchain Transparency Institute)の調査報告書によると、取引量で世界のトップ25社の仮想通貨取引所は、取引量を偽って報告して金儲けの一助にしていることが分かりました。業界ではこれを「仮装売買(wash tarading)」と表現していて、これら取引所は特定の仮想通貨の人気もしくは販売力を誇大に宣伝して、ICO発行元に対して有利な立場を築こうとします。

大手仮想通貨取引所25社中23社は取引量を過大申告

報告書によると、コインマーケットキャップ(CoinMarketCap)に登録されているトップ25の取引所の内、仮装売買の戦術を積極的に採用していないのはバイナンス(Binance)とビットフィネックス(Bitfinex)の2社に過ぎず、残りの23社は取引量の70%以上に手心を加え、そのうち12社は取引全量の99%を操作している可能性があるといいます。

仮装売買に携わる取引所は、総額で1日平均約25億ドル(約2,830億円)の取引を実現していますが、報告書によると、わずかに3億2,400万ドル(約365億円)が実取引額ということです。これは取引所が公表している取引額より実際は87%も少ない額です。

米国最大手の取引所であるコインベース(Coinbase)は、仮装売買に関わっておらず、そのため取引量にしてコインマーケットキャップのトップ25位にランクインしていないと考えらえています。

取引量過大申告は2018年が「仮想通貨の氷河期」と言われる一因?

この報告書を読んだ多くのユーザーは、米国最大のソーシャルニュースサイトレディット(reddit)上でコメントを投稿して、リストアップされた取引所は新規参入した企業か、そのような取引量が示すような力も顧客基盤もない取引所なので、データをねつ造したのだろうと指摘しています。

また仮装売買は2018年を通じて深刻な問題であり、仮想通貨愛好家が現在経験しているような「仮想通貨の冬の時代(氷河期)」の出現に何らかの影響を及ぼした可能性も指摘されています。その解決策として、トレーダーが今求めているのは、分散型の取引所かもしれません。

分散型金融取引プラットフォームとブロックチェーンインフラ開発企業ボストーク(Vostok)のサシャ・イワノフ(Sasha Ivanov)最高経営責任者(CEO)は、フォーブス(Forbes)のインタビューに対して、「分散型仮想通貨取引所は集中化された取引プラットフォームに対抗する能力を備え、世界市場から発する虚偽の取引量の報告を除去する能力がある」と語っています。

分散型取引所は集中型より透明性、公平性に勝り、虚偽申告の抑制効果ある

フォーブスによると、欧州改革センター (Centre for European Reform)の研究者は、取引所ビットフォレックス(Bit Forex)とエフコイン(FCoin)、コインイーエックス(CoinEX)を例に、これら3社が取引量でトップ10の取引所にランク付けされることを目指して、ソーシャルメディアとの関わり合い、ウェブサイトのトラフィック、全体的な需要などをどのように操作しているか、業界で最も信用のある取引所クラーケン(Kraken)とアップビット(UPBit)と比較しました。

その結果、ビットフォレックスなど3社は、ユーザー実数やトラフィック、ソーシャルメディアとのかかわりあい、取引上の活動レベルなどが、報告されているような非現実的な取引量を正当化するには十分ではないとの結論に達したそうです。

分散型取引所は、集中型取引所と比べて透明性と公平性で勝り、仮装売買と虚偽の取引量の可能性を除去することが分かりました。そのような取引所は、より大きなセキュリティと流動性を提供するそうです。

ボストークのイワノフCEOは、次のように語っています。

「分散型取引所は、ますます重要になっている。非集中型のセッティングによって、そのような取引所は虚偽の取引量を排除しやすくなる。その理由は、疑わしい取引を含めて、すべてのユーザーにとって取引全体のふかん(俯瞰)性が強化されることである」。

関連
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参考
Blockchain Transparency Institute
Forbs

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