KeepとSummaがクロスチェーンのワーキンググループを発表、トラストレスなビットコインとイーサリアムのブリッジを目指す

KeepとSummaがクロスチェーンのワーキンググループを発表

キープ(Keep)とスンマ(Summa)がクロスチェーンのワーキンググループを発表しました。クロスチェーンとは、クライアントサーバーのサービスを経由せずに、ブロックチェーン同士がコミュニケーションを実行して、アセットの交換やなにかしらのコントラクトを実行することを指します。これに取り組む代表プロジェクトとしては、コスモス(COSMOS)などがあります。

関連:「ブロックチェーンのインターネット」を実現するコスモス(COSMOS)を簡単解説

COSMOS以外にも複数のアプローチでこれを実現しようと、いくつかのグループが研究開発に取り組んでいますが、このワーキンググループはその新しい事例の一つです。

Keepは、Keep Networkというイーサリアムなどをはじめとしたブロックチェーンのプラバシーのレイヤー2を作ろうとしているプロジェクトです。a16zをはじめとした大御所ファンドから資金調達をして、注目を集めています。

Summaは、元々クロスチェーンにフォーカスしたプロジェクトで、ビットコインとERC-20トークン間のアトミックスワップなどに取り組んでいました。

カストディアンを必要とせずにビットコインBTCをイーサリアム上で使用するtBTCの提案

ビットコイン(BTC)をイーサリアムを上で利用するプロジェクトは既に存在します。
ビットゴー(BitGo)とレン(REN)、カイバー・ネットワーク(KyberNetwork)がイニシアチブをとって、既に稼働しているラップドビットコイン(WBTC)はその一つです。

WBTCは,BitGoのカストディに入っているビットコインを、WBTCとしてイーサリアム上で生成するモデルです。しかし、クロスチェーンワーキンググループが提案をする新しいモデルは、WBTCのような信頼を前提とするカストディがある形式ではない方法でビットコインをイーサリアム上に持ち込むことを目指します。

tBTCでは、Stateless SPVという技術を使います。マルチシグの署名グループに対するビットコイントランザクションを送り、それをイーサリアム上のスマートコントラクトが監視、検証を行います。検証が済んだらイーサリアムのブロックチェーン上でtBTCがミントされます。

tBTCが生成されるまでのグラフィックは下記です。(ホワイトペーパーより引用)

tBTCが生成されるまでの流れ

署名グループの組成は結局Federated(特定のグループ)でもあり、Liquidよりトラストレス性が高いというのは誇張ではないかという議論もすでに起こっています。

しかしながら、カストディを使うのではなく、署名に基づいてイーサリアム上でビットコインを使えるようにすることは、大きな技術提案であると言えます。tBTCのテストネットは年内にローンチ予定です。

ビットコイン(BTC)の価格・相場・チャート
イーサリアム(ETH)の価格・相場・チャート

参考
A Decentralized Redeemable BTC-backed ERC-20 Token

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