- 古物商許可での「仮想通貨決済」が全面的に認められる
- 暗号資産取扱古物商協会設立を目指す岡部氏は、古物営業における「仮想通貨取引」の可否について警察庁の公式見解を報告。暗号資産取扱古物商を活用した、未上場暗号資産を含むイノベーティブな仮想通貨関連サービス拡大に期待を寄せた。
古物商許可での「仮想通貨決済」が全面的に認められる
古物商を営む岡部典孝氏は25日、古物営業における「仮想通貨取引」の可否について警視庁に問い合わせた結果、公式見解があったことを報告した。
古物とは、中古品などをビジネスとして売買したり、交換したりする個人および法人のこと。古物商とは、各都道府県の公安委員会の許可を得て、古物営業法に規定される「古物」の売買等をしている事業者のことを指す。
岡部によれば、東京都の行政組織である警視庁から、警察庁(古物営業)担当者に確認を行い、eコマースサイトで仮想通貨を介した代理購入や、仮想通貨での委託販売などを行う新業態の合法性を含めて確認した結果、以下のような書面回答があった。
【警察庁公式見解】
— 印鑑から国民を守る党 岡部典孝 (@noritaka_okabe) September 24, 2019
近年の仮想通貨で様々な取引等が行われている現状や古物の売買のほかに交換することも古物営業であることを踏まえると、当該営業が古物営業法に規定する古物営業に該当するのであれば、古物商の許可を受けた上、仮想通貨や他の法定通貨で取引することは差し支えないものと解する。 pic.twitter.com/Hbj8ZdwNyw
質疑概要について
警察庁は、暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)で、古物営業取引を行うことは可能か?との質疑に対しては、当該営業が古物営業に該当するのであれば、古物営業法に規定する範疇において、「法律上(古物営業法)規定されている、相手方の確認(本人確認や帳簿の記載)があれば問題ない」と回答。
また、仮想通貨による古物営業の可否については、以下のように回答している。
古物営業法の制定時には、仮想通貨(暗号資産)は存在していない。
日本円による取引を想定したものであるが、日本円以外(米ドルなど)の法定通貨で古物取引を行なってはいけないとの規定はない。 古物商の許可を受けた上、仮想通貨や他の取引を行うことに対しては、差し支えないものと解する。
古物商許可で仮想通貨決済が認められる
岡部氏はこれらの回答について、(警察庁の判断として)「古物商許可で仮想通貨決済が全面的に認められた。これが覆ることは考えにくい。」とし、動画内で解説している。
仮想通貨は従来、金融庁の管轄で資金決済法に基づいて、仮想通貨同士の交換や売買の媒介は禁止されていたことを踏まえ、「未上場仮想通貨や少額の上場仮想通貨は、暗号資産取扱古物商で入手できることから、古物商の独占業務になるのでは。」と、その優位性を指摘した。
これに伴い、「暗号資産取扱古物商協会 準備室」をdiscord上で立ち上げ、すでに100名ほど集まっているという。暗号資産取り扱い古物商の業態を世間に認知してもらい、健全なマーケットとして確立していこうという趣旨のものだ。
今後は、暗号資産取り扱い古物市場が発展することにより、暗号資産のプロ同士で、物を暗号資産で競っているというマーケット拡大が見込まれるとしている。
岡部氏のコメント
CoinPostの取材に対し、岡部氏は以下のように回答した。
警察庁は古物の売買を暗号資産で行うことを「古物と暗号資産の交換」と考えているようです。
今回の行政文書開示により、古物商は古物営業法で定められている本人確認義務と帳簿記載義務を履行すれば、業として暗号資産決済で取引できることが確認できました。
よって、仮想通貨交換業者を通さずに単独で一定のAML/CFTを行いながら消費者と様々な仮想通貨で物を売買できます。 さらに、プロマーケットである古物市場で古物商間で物を売買できます。
FATFガイドラインでも国境を超えない物の売買は、「リスクの低い取引」とされています。つまり物を取引している故に、暗号資産取扱古物商は仮想通貨交換業者より規制の要求レベルが本質的に低いのです。
したがって、暗号資産取扱古物商を活用したイノベーティブな仮想通貨関連サービスが続々立ち上がってくる予感がします。
例えば、未上場暗号資産は、仮想通貨交換業者が取引できない為、古物商がプロとしてリスクを取ることで初期流動性をつけることになるでしょう。
健全に暗号資産取扱古物商業界が発展すれば、街中の古物商で物を売って仮想通貨を入手することができるようになるでしょう。 現在、一般社団法人「暗号資産取扱古物商協会」の設立を目指しています。
協会として金融庁や警察庁とコミュニケーションを進めることで、ブロックチェーン業界と古物業界双方の更なる発展に貢献したいと思います。