仮想通貨の発行が噂されるFacebook、ブロックチェーン開発など今後の動きとは?

ブロックチェーン部門開設し、独自仮想通貨発行か?

Facebookがこのところ、自社ブロックチェーン開発チームを拡大する努力を強めています。同社はまた、自社仮想通貨を発行する準備を進めているといううわさが流れています。ソーシャルメディアであるFacebookとブロックチェーンは、果たして両立するのでしょうか?

仮想通貨メディアのビットコインニュース(Bitcoin News)が「Facebook はブロックチェーン部門を強化し、新たな仮想通貨を開発するかもしれない」と題する記事(2018年12月18日)を掲載しました。以下はその記事の主張を要約してお伝えします。

ブロックチェーン開発責任者にPayPal元社長のマーカス氏起用

Facebookと仮想通貨はこれまで、多少でも交錯した関係にありました。同社は仮想通貨とブロックチェーン、ICOに関係する広告をすべて禁止することを発表したのは、2018年1月30日でした。

同社はしかし1カ月後、オンライン決済サービス大手のペイパル(PayPal)の元社長でFacebook のチャットアプリであるメッセンジャーの管理責任者だったデビッド・マーカス(David Marcus)氏を新設したブロックチェーン開発部門の責任者に任命しました。マーカス氏は長年、世界最大手の仮想通貨取引所コインベース(Coinbase)の取締役を務めた経験もあります。

Facebookのブロックチェーン開発室は4月に正式発足して、これまでに40人余りの社員で構成されていますが、その内6人はペイパルから移籍したと伝えられています。開発室にはさらに、モバイル決済やデジタルウォレットサービを専門職としてきたサムソンペイ(Samsung Pay)やグーグルペイ(Google Pay)の元社員も含まれています。

新設部門の目的はユーザー間の仮想通貨決済システムの開発か?

ニュースメディアのチェダー(cheddar)のアレックス・ヒース(Alex Heath)氏は、Facebookのブロックチェーン開発室の役割について、次のように語っています。

「開発チームは何を開発しているかについて非常に口が固いが、ある種のブロックチェーンベースの仮想通貨決済システムであることは間違いない。彼らはすでに、この計画を完成させるため、ワシントンの政策マンを取り込んでいる」

Facebookの仮想通貨プロジェクトはFacebookユーザーに限定したサービスを狙っています。アカウント保持者は、在来の銀行や決済センターの仲介なしに、ユーザー相互間の電子決済に利用することになります。またブルームバーグ(Bloomberg)は12月21日、Facebookはメッセンジャーアプリ「ワッツアップ(WhatsApp)」を利用して、ユーザー同士の送金のため独自の仮想通貨を開発中と伝えています。

ヒース氏はまた、Facebookがオペレーターや製品マネジャー、法務専門家、研究者らを熱心に集めて、開発チームを支援していると述べ、「Facebookは積極的に人材を集めるとともに、ホワイトペーパー段階のスタートアップ企業を確保しようとしている。仮想通貨業界の人材は限らており、人材を求める大企業も多いので、Facebookは人材集めに苦労している」と述べています。

信頼失墜したFacebookの起死回生の新事業になるのか?

Facebookはこの1、2年、急激にユーザーの信頼を失いつつあります。例えばFacebookのデータを不正に共有されたケンブリッジ・アナリティカ事件が記憶に新しいですが、16年4月ハフィントンポスト(Huffington Post)と世論調査会社のユーガヴ(YouGov)が実施した世論調査でも、28%のユーザーが「全く信頼できない」と答え、34%が「余り信頼できない」と回答していることでも分かります。

ヒース氏は結論として、次のよう語っています。

「自社エコシステムの中に仮想通貨とデジタル経済を創出しようというFacebookのアイディアは、人によって賛否両極端である。私の意見では、Facebookはこのプロジェクトの実現を目指しており、来年(2019年)に仮想通貨業界のいくつかの企業を買収することになるだろう」と語っています。

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参考
BITCOIN NEWS
HUFFPOST

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