自主規制団体である一般社団法人日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)は、暗号通貨取引のレバレッジ規制を4倍と定めていますが、金融庁は最終的にレバレッジの上限を2倍以下にすることを検討しているというニュースが報道されました。
これについてTwitterなどのSNSでは多くの反対意見が散見されます。また、筆者の観測範囲にはなりますが、各事業者からも苦言の意見を度々耳にしています。本コラムでは本件に関する筆者の意見を述べます。
日本の事業者を圧迫する国内の仮想通貨に関する規制
まず、レバレッジ2倍の規制は日本国内取引所の収益を極めて圧迫することにつながるでしょう。取引所の収益のほとんどは以下の2つから成り立ちます。
- 売買手数料(交換所形式であればスプレッド)
- レバレッジ取引の建玉維持費用
前者の収入は、日本国内では上場承認スピードが遅く商品数を増やせず、ビットコイン(BTC)などの既存の商品に頼ることが中心になっています。後者のレバレッジ収入に影響するものが今回の規制であり、前者と重なり事業者の収益性を押し下げるでしょう。
日本国内の事業者は、直近数年間、規制の影響から収益性が圧迫されていましたが、その収益性をさらに下げることにつながると予想されます。規制の考慮が最低限でありながらも、ユーザーファーストを貫く海外取引所のバイナンス(Binance)などの取引所は高収益を維持している格好です。これについて下記のコラムで過去に所感を述べています。
関連:バイナンス(Binance)の情報セキュリティ国際規格取得が示唆すること
「暗号通貨が普及することの社会的意義は何か」に答えられる必要性
さて、このような規制についてですが、文句を言っているだけでは事態は好転しません。暗号通貨以外でも同様ですが、規制勢力に対して必ず求められるロジックは「公共性」に他なりません。つまり、下記のような問いに答えられる人がもっと増えなければいけません。
- 「暗号通貨がなぜ国内産業にとって大事なのか」
- 「暗号通貨が普及することの社会的意義はなにか」
- 「暗号通貨取引市場が活発になることによって世の中がどうよくなるのか」
逆にそれらの質問に事業者が答えられないのであれば問題で、それは「結局投機でしょ」に反論できないことと同義です。規制されて然るべきと判断されしょうがない。規制に反論するならば、これらの問いに業界レベル、できればユーザーも含んで認識持てないと、新しい産業は育たないでしょう。
また筆者の認識では、この質問に答えられる人は極めて少ないという認識です。「Why Blockchain Matters(なぜブロックチェーンは重要か?)」は浸透しつつありながらも、「Why Crypto Matters(なぜ暗号通貨は重要か?)」に回答できる人は少ないと感じます。
筆者自身は仮想通貨交換業者にあたる事業会社を運営する身ではないですが、これらを考慮して日本国内の業界発展を心から願っています。筆者なりの「なぜ暗号通貨は重要か?」はまた別の機会に触れることとしますが、業界各社はこの基本に立ち返ることが重要ではないかということが筆者の意見です。
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