急速に仮想通貨の夢を実現するシカゴ、大戦場として進化

米国中西部イリノイ州シカゴは長年、金融取引都市として知られています。シカゴ商品取引所(CBOT)、シカゴマーカンタイル取引所(CME)などが集中し、シカゴは数ある愛称の中でもミシガン湖に接するWindy City(風の街)として市民に親しまれています。

シカゴは今、熱烈な仮想通貨支持者であふれ、仮想通貨の世界でチャンスをつかむ場所として変貌しようとしています。その最たるものが2017年12月に始まった、シカゴ・オプション取引所(CBOE)とCMEによるビットコイン先物取引でした。

シカゴの取引所は流動性の高い仮想通貨取引に東奔西走

仮想通貨メディアのクリプト・グローブ(CryptoGlobe)が18年10月に伝えたところによると、シカゴ市内の著名な多くの取引所は、仮想通貨に真剣な目を向けて、一部の流動性のある暗号通貨の取引を想定した投資に走り、シカゴの仮想通貨産業はますます広がり、進化し続けています。

いくつかのプロフェッショナルな取引所は、流動性の高い10-15種の暗号資産を取引する専門チームとデスクを新設しました。これら取引所は、独自所有(proprietary)という表現で呼ばれるように、クライアントの資金ではなく自己資金で取引するほど過熱しています。取引デスクの一部は、世界の多くの地点に事務所を構え、仮想通貨業界の需給状況を四六時中フォローしています。

大手仮想通貨取引所は優秀な人材を求めてシカゴの事業を拡大

米大手仮想通貨取引所のコインベース(Coinbese)は最近、トムソン・ロイター(Thomson Reuters)の元取引事業グローバルヘッドであり、金融市場で良く知られるキト・ズバ(Quito Zuba)氏がマーケット事業部長として入社し、シカゴチームで重要な役割を果たすことになることが確認されています。

ズバ氏は、バイヤーとセラーを結びつけるため、コインベースのマッチングエンジン構築に取り組んでいます。コインベースのシカゴの所長で、元CME取締役のポール・バウエルシュミット(Paul Bauerschmidt)氏は、シカゴは人材が豊富であり、「素晴らしい交換・取引コミュニティーである」とコメントしています。

仮想通貨のATMが市内に乱立しハブに成長

シカゴはまた仮想通貨取引所の数とともに、街中のATMの数も急増しており、「このマーケットの流動性の中心地は、シカゴである」とも言われています。

市内で特に目立つのは、仮想通貨ATMベンダーの数が増え、仮想通貨支持者を引き付け、その存在感を示し始めています。シカゴ・ビジネス紙によると、例えばルクス・ベンディング(Lux Vending)社は19年初めから30のATMを設置し、レッド・リーフ・シカゴ(Red Leaf Chicago)社やアテナ・ビットコイン(Athena Bitcoin)と並び、シカゴは仮想通貨キオスク設置をめぐる戦場と化しています。

シカゴには現在、約100のATMが設置されていますが、ATMを含めてもっと多くの仮想通貨の成長を受け入れる態勢が整いつつあるようです。ルクス・ベンディングのブランドン・ミンツ(Brandon Mintz)最高経営責任者(CEO)は「シカゴは金融ハブとしての規模と評価で、まさにニッチマーケット(隙間市場)そのものになっている」と述べ、ATM設置の事業強化を狙っています。

シカゴは同時に、大手取引所による仮想通貨市場ハブに変貌しています。CME GroupやCOBEがビットコイン先物を取引しているほか、仮想通貨利用を高め、投資したり、取引する企業が群がっています。例えばシカゴのスタートアップ企業ErisXやSeedCXは取引所を開設、サンフランシスコの大手取引所コインベースは小口ユーザー向けに支店を開いたのはその1例に過ぎません。

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参考
CRYPTOGLOBE
CHICAGO BUSINESS

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