JPモルガンの公表によると、暗号資産(仮想通貨)市場は再び膨張し始めており、市場は思ったより早くバブル状態になろうとしていると分析しています。個人投資家の需要増加など内容を紹介します。
JPモルガンが9月初め公表した投資家向けノートによると、暗号資産(仮想通貨)市場は再び膨張し始めており、市場条件は思ったより早くバブル状態になろうとしていると分析しています。「仮想通貨市場は再度バブルになりつつある」というのがJPモルガンの見立てです。
個人投資家の購買力は今年後半に向けて大きく高まる
公表されたノートによると、特に個人投資家によるデジタル資産への購買意欲は、株式とともに高まっています。個人投資家の需要は、歴史的な低金利と今年後半に対する米連邦準備制度理事会(FRB)のハト派的見解のおかげで記録的な高まりをみせています。JPモルガンのアナリストたちは、8月だけで株式市場には130億ドル(約1兆4,000億円)の流入があったと推定しています。
JPモルガンの評価チームによると、仮想通貨市場にも大きな資本が流れ込んでいます。今年の夏の終わりに近づくとともに、個人投資家の購買意欲が高まり、仮想通貨市場の再燃に主要な役割を果たしていることはほぼ間違いありません。
特にビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)は、5月に最高値をつけた直後、50%余り大きく下落していました。これら仮想通貨の価格は7月下旬になって回復の兆しを見せ、ビットコインとイーサリアムはそれぞれ約55%と90%高騰しました。
ビットコイン(BTC)の市場占有率が下落、アルトコインが台頭
ビットコインとイーサリアムの価格上昇は、人気が爆発的に高まったその他アルトコインとNFTと比べるとやや見劣りします。例えば、ソラナ(Solana)が記録的な高騰を見せています。その価格は8月だけで390%も上昇し、年初来(YTD)では7000%も高騰しています。
ビットコインの(市場)占有率は実は下落し続けています。これと対照的に、イーサリアムやカルダノ(ADA)、バイナンスコイン(BNB)などのアルトコインのドミナンスが上昇しています。その結果、時価総額で計算したビットコインの市場占有率は、今年初めの73.78%から41.23%まで下落しています。
JPモルガンのアナリストによると、アルトコイン取引量は仮想通貨市場の約3分の1となっています。この数字は、現物市場取引量に限定して計算されているかは明らかではありませんが、8月初旬の22%から実質的な上昇があったことが分かります。
投資家向けノートは「アルトコインのシェアは、むしろ歴史的な基準によって高まるように見えるが、われわれの見解では、構造的な上昇トレンドを反映したものでものではなく、むしろバブルや一般投資家のマニアックな傾向を反映しているように見える」と解説しています。(JPモルガンのような)大手投資銀行はなお、急速に拡大しつつある代替資産クラスについて依然として慎重です。
参考
・JPMorgan: Crypto Markets, Fueled by Retail Buying Frenzy, are Once Again in a Bubble
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