- 金融庁でキャッシュレス決済に関するスタディ・グループ開催
- 金融庁は4日、金融審議会で、少額資金移動サービス」における討議を行った。安倍総理は未来投資会議で、「決済をはじめとする分野で、早期に規制体系を再編成する法案の提出を検討」にも言及している。
金融庁でキャッシュレス決済に関する研究会開催
金融庁は、支払/決済を意識せずにモノ・サービス受領が行われるキャッシュレス社会の実現に向けて、成長戦略の方向性を決めるための「未来投資会議」を定期開催している。
今回は、3月4日に開催された金融審議会「スタディ・グループ」の内容を元に、重要発言を抜粋した。
第8回金融審議会「金融制度スタディ・グループ」では、QRコードやバーコードを用いたスマホ決済サービス(LINE Payなど)の事例などから、主に「少額資金移動サービス」について討議を行った。
資金移動サービスとは
これまでは、銀行や郵便局の窓口か、ATMで現金を下ろして生活するのが一般的だったが、資金決済に関する法律(資金決済法)により、銀行以外の業者でも為替取引を業務として行えるように。銀行以外の業者が行う為替取引を「資金移動業(資金移動サービス)」と呼ぶ。
主な議題は、以下の通りだ。
議題1.少額サービス
①1件あたりの送金額の上限が数千円~数万円、かつ、②利用者アカウントへの入金額の上限が数千円~数万円の「少額サービス」のみを取り扱う場合に特化した規制を新設することとする場合、その規制のあり方について、どう考えるか。
⑴ 送金額と入金額がともに比較的少額であることから、業者破綻時に利用者一人ひとりが被る影響は限定的であることを踏まえ、業者の規制対応コストを低減する観点から利用者資金の保全に関する規制を緩和することが考えられるとの指摘があることについて、どう考えるか。
⑵ 業者破綻時に利用者一人ひとりが被る影響は限定的であっても、利用者数が膨大であれば、業者破綻が社会全体に与える影響は相応であると考えられることについて、どう考えるか。
⑶ 「少額サービス」についての議論の一部は、資金移動業者のほか、プリペイドカード(前払式支払手段)発行者にもあてはまると考えられるが、どう考えるか。
議題2.ポストペイサービス
一定期間の送金サービス利用代金をまとめて支払いたいという利用者ニーズが存在することなどを受けて、「ポストペイサービス」を提供することに関して留意すべき点について、どう考えるか。
⑴ 「ポストペイサービス」は、外形的には「資金供与」と捉えることもできるが、①業者がサービスを提供するインセンティブ、②利用者がサービスを利用するインセンティブは、一般的「資金供与」に係るそれらとは異なると考えられるが、どう考えるか。
⑵ 仮に、経済的に余裕のない利用者が、「資金供与」の代替としてこうしたサービスを利用しようとすることも考えられるが、どう考えるか。
ポストペイとは
後払い形式のこと。利用金額はクレジットカード同様に後から請求される。電子マネー「iD」などが有名で、現金を必要とせず決済スピードが速い上、コンビニでも使用できることから利便性が高い。一定期間の送金サービス利用代金が、まとめて銀行口座から引き落とされる。
安倍政権の目標
これに伴い、2020年の東京五輪や2024年の大阪万博に向けた、外国人観光客によるインバウンド需要の獲得や、10月1日から始まる「消費増税」の反動に備えた景気刺激策を踏まえ、「キャッシュレス決済」を推進する日本政府は、以下のような目標を掲げている。
- 金融サービスの仲介について、機能・リスクに応じた必要な利用者保護は確保しつつ、様々な金融サービスを横断的に提供することを可能とする「横断的な金融サービス仲介法制」の実現に向け検討。
- これにより、個々の利用者が、スマートフォンなどを活用し、様々な金融サービスの中から自らのニーズにあったものを選択しやすくし、金融サービスの「質」をめぐる競争を促進。
以下は、2月13日に開催された「第23回 未来投資会議」での発言要旨だ。
現在の銀行、サービス提供者といった業態別の法体系が、新規参入者などによる柔軟なサービス提供の障害となっている。決済をはじめとする分野で、早期に規制体系を再編成する法案の提出を検討したい。
金融担当大臣に就任以来、「金融育成庁」として、利用者保護等と同時にイノベーションを促進する環境作りに取り組んでおり、その一環として機能別・横断的な法制の検討に取り組んでいる。
スマートフォンで少額を中心にプリペイド(前払い)とポストペイ(後払い)を組み合わせたシームレスで便利な支払いができるよう、法制の検討をしていきたい。
キャッシュレス化社会と仮想通貨
また、厚生労働省では昨年10月、企業給与の電子マネー支払いを検討していることが、日本経済新聞などで報じられた。
2019年にも、銀行口座を通さずに、スマートフォンの資金決済アプリなどに給与を送金できるようにするという。
将来的に、仮想通貨が直接的に決済利用されるかどうかは別として、電子決済が日常的に行われる「キャッシュレス化社会」において、お金の形が目に見えないものでもあるといった一般認識は、実態のない資産として懐疑的に見られがちだった”仮想通貨(暗号資産)の認識”そのものを変化させていく可能性も考えられる。
実際に、電子マネー普及率で世界トップに位置する中国や韓国は、キャッシュレス化が進む中で仮想通貨ブームが起こり、国民に受け入られられた事も、潜在的な「お金の捉え方」と結びつく点もあるかもしれない。
こうした動きは、仮想通貨業界にも追い風となることが予想され、つい先日、仮想通貨取引所「みんなのビットコイン」の商号変更を発表したばかりの楽天も、決済事業に仮想通貨企業の振り分けを行なっているほか、クレジットカードや楽天ポイントでの支払い可能な「楽天ペイ」の普及を促進している。
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