現在の暗号資産(仮想通貨)強気市場で大儲けしているのは、投資マニアやウォールストリートの大物だけではありません。アメリカ政府そのものが、およそ120億ドル(約1兆8,000億円)という巨額のビットコイン(BTC)を資産として保有しているのです。

政府が管理するビットコイン価値が倍増

ここ10年ほどでアメリカ政府は、仮想通貨関連の犯罪に関与した企業などから多額のビットコインを押収しました。中でも闇市場のシルクロード(Silk Road)や、2016年にビットフィネックス(Bitfinex)から数十億ドル相当のデジタル資産が盗まれた事件がよく知られています。

仮想通貨投資企業21.coが、データサイトのデューン(Dune)でまとめたオンチェーン・ウォレットのデータによると、現時点でアメリカ政府が保有しているビットコインは194,000BTCを超えています。

この保有資産が注目され始めたのは、ビットコイン価格が上昇の兆しを見せた2023年秋のことです。この時期の9月に総額50億ドル(約7,520億ドル)程度と見積もられた資産は、現在120億9,000万ドル(約1兆8,200億円)と評価されています。つまりわずか数ヶ月間で、政府は70億ドル(約1兆5,300億円)の利益を出したことになります。

現在アメリカ政府はビットコインと仮想通貨全般に厳しい姿勢をとっていますが、心ならずも間違いなく世界最大のビットコイン保有者の1つになってしまったのです。

水面下で動き始めたアメリカ政府

現在政府が握っているビットコインは、市場総流通量の1%にも達しています。これを上回る保有者は取引所のバイナンス(Binance)と、ビットコインの生みの親とされるサトシ・ナカモトだけです。

ただし政府は過去に何度か、保有資産のごく一部を売却しています。また2024年1月には、シルクロードの薬物密売人から押収した1億1,700万ドル(約176億円)相当のビットコインを売却する予定であると発表しました。

今後政府の仮想通貨管理担当者が、戦略的なタイミングでビットコインを売却することにより、保有産資の価値を最大化する意向があるのかどうかは分かりません。

ところがブロックチェーン分析企業のアーカム・インテリジェンス(Arkham Intelligence)によると、2月29日になってビットコイン価格が数時間で11%も上昇する中で、政府はビットフィネックス事件で押収した資産のうち約10億ドル(約1,500億円)を、より多くの資産を管理する別なウォレットに移動したようです。アメリカ政府に、何らかの下心があるのでしょうか。

参考
US Government Now Owns $12 Billion Worth of Bitcoin—Here's Why

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