金融庁は2026年2月3日、金融審議会総会・金融分科会合同会合を開き、暗号資産を金融商品取引法(金商法)の枠組みに移行する制度改正案の概要を、答申として正式に承認しました。
暗号資産の規制根拠法を現行の資金決済法から金商法へ移し、金融商品として位置づける方針が明確になりました。国内の暗号資産規制において、大きな転換点となる動きです。
今回承認された改正案では、暗号資産に対して株式や投資信託と同様の金融規制を適用することが柱となっています。
具体的には、インサイダー取引規制の新設、発行体や事業者による情報開示の義務化、いわゆるホワイトペーパーの提出義務、さらに第一種金融商品取引業に相当する業規制の適用などが盛り込まれています。投資家保護と市場の透明性を高める狙いがあります。
暗号資産を「金融商品」に位置づけ|金融庁がインサイダー規制と情報開示を強化
今回の改正案の最大の特徴は、暗号資産を「決済手段」ではなく「金融商品」として位置づける点にあります。これにより、価格変動リスクや情報の非対称性といった投資商品としての性格を前提に、より厳格なルールの下で市場を管理する体制へと移行します。
インサイダー取引規制の導入も重要なポイントです。未公表の重要情報を利用した取引を禁止することで、不公正な取引の抑止を図ります。これまで暗号資産市場では、プロジェクト内部者による情報流出や不透明な取引が問題視される場面も少なくありませんでした。制度化によって、こうした懸念への対応が進むことになります。
また、ホワイトペーパーの提出義務や情報開示の強化により、投資家がプロジェクトの内容やリスクを把握しやすくなる環境づくりも進められます。発行体や取引業者には、より高い説明責任が求められることになります。
市場関係者の間では、今回の答申を受けて「日本の暗号資産市場が本格的に金融市場の一部として位置づけられる転機になる」との声も出ています。一方で、業規制の強化によるコスト増や、新規参入のハードル上昇を懸念する見方もあります。
暗号資産交換業者の関係者は、「規制が明確になることで、海外機関投資家や法人マネーが入りやすくなる可能性がある」と期待を示す一方、「体制整備には相応の時間と投資が必要になる」とも指摘しています。
まとめ
今後、金融庁はこの答申を踏まえ、金融商品取引法の改正案を2026年の通常国会に提出する見通しです。具体的な提出時期や施行時期については、現時点では明らかにされていませんが、今後の国会審議を経て制度化が進むことになります。
制度が施行されれば、国内の暗号資産市場は、より厳格な監督の下で運営されることになります。一方で、ルール整備が進むことで、長期的には市場の信頼性向上につながるとの見方も根強くあります。
金融庁はこれまで、「イノベーションを阻害せず、利用者保護を確保する制度設計が重要だ」との姿勢を示してきました。今後は、国会審議の行方や、具体的な運用ルールの策定が焦点となります。暗号資産を取り巻く国内制度がどのように定着していくのか、市場関係者の関心は引き続き高まりそうです。
参照:金融庁