JPYC株式会社は2月27日、シリーズBラウンドのファーストクローズとして総額17億8000万円を調達する予定だと発表しました。リード投資家はアステリア株式会社です。
JPYCは、ブロックチェーン上で発行・流通する日本円建てのデジタルマネーです。いわば「デジタル上の円」を現実の決済や送金に使える形で実装しようとする試みで、ここ数年は制度整備とともに少しずつ利用シーンを広げてきました。
今回の資金調達は、その取り組みを一段と押し進めるための土台づくりといえます。
調達した資金は、システムの安全性向上や、法務・コンプライアンス体制の強化、人材採用などに充てられる予定です。
個人や法人がより使いやすい発行・決済機能の整備も進めます。AIエージェント同士が自動で支払いを行うM2M(Machine to Machine)決済といった、次世代的なユースケースも視野に入れており、「プログラムで動くお金」としての可能性を広げていく考えです。
数字も伸びています。2026年2月16日時点で、JPYCの累計発行額は13億円を突破しました。月次平均成長率は約69%に達しています。
ユーザーの広がりも、JPYCの口座開設数は約1万3000件ですが、保有ウォレットアドレス数は約8万に達しています。ブロックチェーン上での二次流通が活発に行われている証左であり、「口座を持つ人」だけでなく、エコシステム全体で動いている通貨になりつつある様子がうかがえます。
現在はEthereum、Polygon、Avalancheの3チェーンに対応しています。DeFiでの活用、NFTやゲーム領域での利用、高速処理を活かした決済など、それぞれのチェーン特性に合わせた使われ方が進んでいます。
代表取締役の岡部典孝氏は「デジタル円経済圏は着実に広がっている」との認識を示しています。ブロックチェーン上で円が自然に使われる世界を実現することが、同社の目指す方向性です。AI時代を見据えた金融インフラの再設計という大きなテーマも、その先にあります。
今回のラウンドには、アステリアのほか、JR西日本イノベーションズ、directX Ventures、HEROZ、bitFlyer Holdings、明治安田未来共創投資などが参加しました。
鉄道系企業やIT企業、金融関連企業まで顔ぶれは多彩です。ステーブルコインを単なる暗号資産の一種としてではなく、産業インフラの一部として捉える動きが広がっていることを感じさせます。
国内では改正資金決済法の施行以降、ステーブルコインを巡る環境が整ってきました。制度が整い、プレイヤーが増え、実際の利用も積み上がってきています。
JPYCが今回調達した17億8000万円は、その流れをもう一段前へ進めるための資金です。日本円のデジタル化がどこまで日常に溶け込むのか。次の一年が試金石になりそうです。
参照:公式発表