結論
日本の政策文書を見ると、「Web3」という言葉の存在感は2022〜2023年と比べて確かに薄くなっています。
ただし、これは必ずしも暗号資産政策の後退を意味するものではありません。実際には政策の重心が、「Web3を推進する」という看板型の政策から、「暗号資産を金融制度の中でどのように扱うか」という具体的な制度設計へと移りつつあります。
特に投資家にとって重要なのは税制の動きです。現在の暗号資産取引は原則として雑所得の総合課税ですが、今後は申告分離課税20%へ近づく方向が議論されています。法改正の内容や施行時期によっては、日本の暗号資産市場の環境が大きく変わる可能性があります。
この記事では、政策文書におけるWeb3の扱いの変化と、2025〜2026年にかけて進んでいる暗号資産制度改革を整理しながら、「何が消え、何が進んでいるのか」を初心者にもわかりやすく解説します。
なお、こうした制度や税制の議論が進む中で、暗号資産投資を検討する場合は、まず金融庁に登録された国内の暗号資産交換業者を利用することが基本です。
制度面の整備が進むほど、登録業者を通じた取引と無登録サービスの違いは重要になります。国内の主要取引所やサービス内容を比較したい方は、次の記事も参考にしてください。
政策文書から「Web3」は本当に消えたのか
まず整理しておきたいのは、日本政府の政策文書は複数存在するという点です。
代表的なものとして、毎年6月ごろに閣議決定される「骨太の方針」と、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」があります。
Web3の記述が比較的はっきり確認できるのは、主に後者の政策文書です。
2022年:Web3.0が政策文書に登場
2022年の「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」では、Web3.0の推進に向けた環境整備が政策テーマとして取り上げられました。
文書では、NFTやDAOなどのデジタル資産を活用した新しい経済圏の可能性に言及し、税制や制度面の課題整理を進める方針が示されています。
この時期は、Web3が政府の成長戦略の一つとして比較的わかりやすく打ち出されていた局面といえます。
2023年:Web3関連政策は継続
2023年の政策文書でも、Web3.0関連の取り組みは継続して記載されています。
トークン利活用やコンテンツ産業の活性化など、Web3を活用した新しいビジネスモデルの拡大に向けた環境整備を進める方針が示されました。
この時期は、看板としてのWeb3と制度整備の両方が並行して進んでいた段階です。
2024年:主役は「資産運用立国」へ
2024年になると、日本の経済政策では「資産運用立国」というテーマが前面に出てきます。
NISA拡充や家計の資産形成など、金融市場活性化の政策が中心になり、Web3という言葉は独立した政策テーマとしては見えにくくなりました。
ただし、この時期に暗号資産関連の制度議論が止まったわけではありません。
2024年度税制改正では、一定要件を満たす第三者保有の暗号資産について、法人の期末時価評価課税の対象外とする見直しが行われました。
これは、Web3関連企業にとって実務的には大きな制度改善です。
2025年:言葉としてのWeb3はさらに目立たなくなる
2025年になると、政策文書におけるWeb3という言葉の存在感はさらに薄くなります。
一部の政策案段階では「AI・web3を含むデジタル技術」という表現が確認されるものの、最終的な政策文書ではWeb3の明示的な記述が目立ちにくくなっています。
このため、「Web3が政策から消えた」という印象が広がりました。
しかし重要なのは、その同じ時期に暗号資産そのものに関する制度議論が大きく前進していることです。
「Web3が消えた」は半分正しいが、結論としては不十分
ここまでを見ると、「政策文書からWeb3という言葉が減った」のは事実です。
ただし、それだけで「日本政府は暗号資産政策から後退した」と結論づけるのは正確ではありません。
むしろ2025年以降の政策の中心は、「Web3を推進する」というスローガンから、「暗号資産を金融制度の中でどう扱うか」という制度設計へ移っています。
言い換えれば、2022〜2023年が“旗を立てる段階”だったのに対し、2025年以降は“法律と税制を動かす段階”に入っています。
暗号資産制度改革の核心
この流れを象徴するのが、2025年以降に進んだ制度議論です。
2025年の自民党web3WG提言では、暗号資産を国民の資産形成に資する「新たなアセットクラス」と位置づける方向が示されました。
同提言では、現在の資金決済法中心の制度から、金融商品取引法(金商法)ベースの制度へ重心を移す方向性が議論されています。
この考え方のポイントは、暗号資産を単なる決済手段ではなく、すでに広く取引されている投資対象として制度設計し直すことにあります。
投資家にとって最大の論点は税制
投資家にとってもっとも関心が高いのは、やはり税制でしょう。
現在、日本では暗号資産の売買益は原則として雑所得の総合課税です。
所得水準によっては、住民税を含めて最大55%程度の税負担になる場合があります。
これに対し、制度改革では株式やFXと同様の申告分離課税20%へ近づける方向が議論されています。
さらに損失繰越控除が認められれば、税負担だけでなく売買戦略にも大きな影響が出る可能性があります。
こうした制度変更が実現すれば、日本の暗号資産投資環境は大きく変わる可能性があります。
そのため、暗号資産投資を始める場合は、制度や税制の動向だけでなく、金融庁に登録された国内取引所を利用することも重要です。
現在、日本で利用者が多い暗号資産取引所には次のようなサービスがあります。
国内で選ばれている仮想通貨取引所(タイプ別)
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よくある質問(FAQ)
Q1. 日本政府はWeb3政策をやめたのですか?
A. 完全にやめたわけではありません。
2022〜2023年の政策文書では「Web3」という言葉が比較的明確に使われていましたが、近年の政策では表現としてのWeb3の存在感はやや薄れています。
ただし、その一方で暗号資産制度や税制など、より具体的な制度整備はむしろ進んでいます。
Q2. 暗号資産の税制は本当に20%になるのですか?
A. 現時点ではまだ決定していません。
現在の暗号資産取引は原則として雑所得の総合課税ですが、政策議論では株式やFXと同様の申告分離課税20%へ近づける方向が検討されています。
ただし、実際に適用されるためには金融商品取引法などの法改正が必要で、具体的な施行時期はまだ確定していません。
Q3. 暗号資産が金融商品になると何が変わるのですか?
A. 投資商品としての規制や投資家保護が強化される可能性があります。
現在は主に資金決済法で規律されていますが、制度改革では金融商品取引法の枠組みを取り入れる議論が進んでいます。
これにより、情報開示や市場監視などのルールが強化される可能性があります。
Q4. 今後、日本の暗号資産市場は成長するのでしょうか?
A. 制度や税制が整備されれば、市場環境が改善する可能性があります。
特に税制や法制度の明確化は、投資家や企業が参入する上で重要な要素です。
今後の制度改革の内容や施行時期が、日本の暗号資産市場の成長に大きく影響すると考えられます。
まとめ
政策文書を見ると、確かに「Web3」という言葉の存在感は以前より薄くなりました。
しかし、それをもって暗号資産政策が後退したと見るのはミスリードです。
実際には、暗号資産を金融制度の中でどう扱うかという、より具体的で影響の大きい議論が進んでいます。
投資家にとって重要なのは、「Web3という言葉があるかどうか」ではなく、暗号資産の法制度と税制がどのように変わるかです。
今後の焦点は、金商法改正の内容と、分離課税の適用範囲・施行時期になります。
出典
- 内閣官房「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画(2022年)」
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai8/shiryou1.pdf - 内閣官房「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画(2023年改訂版)」
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai19/shiryou1.pdf - 内閣官房「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画(2024年改訂版)」
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai29/shiryou1.pdf - 内閣官房「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画(2025年改訂版)」
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai35/shiryou1.pdf - 金融庁「暗号資産制度に関するワーキング・グループ報告書」(2025年12月10日)
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20251210/01.pdf - 自由民主党 デジタル社会推進本部 Web3ワーキンググループ提言(2025年)
- 財務省「令和6年度税制改正の大綱」(暗号資産の期末時価評価課税見直し)
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2024/06taikou_gaiyou.htm - 財務省「令和8年度税制改正の大綱」(2025年12月26日閣議決定)
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/20251226taikou.pdf - 金融庁「暗号資産交換業者等に関する制度改正・利用者保護の強化」
https://www.fsa.go.jp/
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