海外では信用スコアを利用した様々なサービスが開始されています。
例えば中国では、商品を購入する前に1週間お試しで使用して購入するか返品するかを決めるサービスが注目を集めました。芝麻信用のスコアが650点以上の人のみが利用できる特典です。
このように、世界は信用スコアが高ければ優遇されやすい社会に近づいています。
日本で活用している事例はまだ少ないですが、今後普及する可能性は充分にあると言えるでしょう。
今大注目の新しいサービス、信用スコアについて海外の例も交えて説明していきます。
信用スコアとは?メリット、デメリット、日本の信用スコアについても解説
信用スコアとは?
信用スコアの仕組み
信用スコアでは、様々な個人のデータや情報などを集めてAIが分析し、独自のアルゴリズムを用いたスコアリングを行って信用力を数値化します。
分かりやすく言うと、「この人はどれくらい信用できるか」という抽象的な部分をAIが点数をつけて可視化するといったイメージです。
どれだけ多くの情報を集められるかがスコアリングの正確性に関わってくるので、ビックデータを多く持つ会社が参入しています。
信用スコアサービスが浸透していけば、ユーザにもメリットが大きいです。例えば、私たちはインターネット上で知らない他者と関わるとき、相手の顔も見えないため信用することが難しいと思います。
信用スコアが導入されれば、ウェブ上にあるその人のプロフィールに信用スコアが数字で表示されるようになります。そうすることで、相手が信用できるかどうか一目瞭然で判断できるようになるでしょう。
これはC2Cサービスが一般化してきた現代には非常に有益と言えます。
良い行動、悪い行動が信用力に直結するような仕組みができ上がれば、インターネット上や実社会での人々のマナーやモラルが向上する>でしょう。
中国など海外で浸透する信用スコア
中国をはじめとした海外では、信用スコアが社会に浸透し始めています。
世界の地域別にそれぞれ紹介します。
中国における信用スコア
中国では、いち早く2015年にアリババグループが「芝麻信用(セサミクレジット)」を開始しました。たった数年で中国国内では多くの人が利用するほど普及しています。今では算出されたスコアは進学、就職、結婚などにも関係するほど「芝麻信用」は中国社会に大きな影響を与えました。
中国の信用スコアサービスは融資だけにとどまりません。
例えば、スコアの高い人はシェアリングサービスのデポジットが免除されたり、海外へ行くときのビザ申請の手間を省くこともできます。
また、ユーザーへの優待だけでなく社会的にも大きな成果が出ていることが世界から注目されている要因です。
例えば、芝麻信用を使った中国のレンタカー市場は、
・レンタルに伴う手続きなどの手間が60~80%短縮
・料金の未払いが半減
・未返還・紛失率もほぼ半減近く
という良い現象が起こっています。
不正行為が減少することで事業者は運営コストを削減できますし、利用者にもメリットが還元されているようです。
アメリカにおける信用スコア
アメリカでは「FICOスコア」というクレジットスコアが全体の9割のシェアを占めています。1989年からサービスを開始していますが、未だ改善すべき点が残っているようです。
アメリカではリーマンショックが起きたこともあり、サブプライム層への融資はとても厳しいと言われています。
FICOでは返済履歴と借入残高・利用率がとくに重要な指標になりますが、アメリカ国民の7900万人がFICOスコアで680以下(サブプライム層・要注意顧客)、5300万人はクレジットスコアの算出をするのに十分な信用情報がない(unscored)という現状です。
中国などの信用スコアとはやや異なり、パーソナルな情報ではあまり判断されず、返済や借入の数字でほとんどが決まってしまいます。
そこで現在、アメリカでは「UltraFICO」という新しい信用スコアサービスが開発されており、2019年リリース予定とのこと。
アメリカにおいても信用スコアが普及すれば、ユーザーにも事業者にもメリットが大きいと期待されています。
ヨーロッパにおける信用スコア
ヨーロッパでも信用スコアサービスが台頭してきました。
イギリスでは、「Aire」というスタートアップが信用スコアサービスを展開しています。
既存の信用スコアの抱える課題に対して、独自のアプローチで解決を目指している注目の企業です。
スコアの算出はオンライン上でインタビュー形式で行われ、主に
・財務状況
・ライフスタイル
・専門性
などの情報をヒアリングします。
お金を借りたい人の信用性を正当に評価し、これまで100億ドル分の与信枠を作ってきました。比較的新しいサービスですが、これからさらに利用者が増えることが見込まれます。
インドにおける信用スコア
インドでも信用スコアサービスが拡充してきています。特にインドでは、融資を受けることができない層が多いため、信用スコアへの期待は大きいです。
4つの信用情報会社がありますが、使用する情報は基本的に同じで、
・過去の返済履歴
・担保ローンと無担保ローンの比率
・与信枠の利用割合
となっています。
これらはクレジットヒストリーという履歴が残っていなければ判断ができないのですが、インド国民の中にはクレジットヒストリーを持たない人も多くいます。
そこで、そのような人に対してもスコアリングを行うべく、
・取引データ(ネット上での購買データなど)
・通話データ
・ソーシャルネットワークのデータ
・位置データ
・行動データ(WEBサイトの訪問履歴)
などを元に信用スコアを付与する仕組みができました。
これにより信用スコアが一定の水準を越えれば、分割で後払いなどが可能になります。
アフリカにおける信用スコア
アフリカでも信用スコアを用いたサービスが広がっています。
南アフリカの「JUMO」は、通信キャリアの保有する膨大な決済データを元に信用スコアを算出する仕組みです。
具体的には
・通話履歴
・通話時間
・データ通信量の購入
・資金的な取引
などの情報を元にスコアリングし、数値により貸付の可否が決まります。
JUMOではこれまでに1,000万以上の生活者にサービス提供を行い、10億ドル以上の貸付を行いました。
その他ケニアなどでもサービスがあり、信用スコアがアフリカでも大きな影響を与えているということが分かります。
日本でも信用スコア参加企業が増えている
日本でも信用スコアサービスを提供する企業が増えています。
ビッグデータを持つ会社を中心に、
・J.Score(ジェイスコア)
・LINE
・NTTドコモ
・ヤフー
などです。
J.Score株式会社は、みずほ銀行とソフトバンクグループが共同出資して設立しました。すでに日本初の信用スコアでのレンディングサービスを展開しており、注目を集めています。
LINEは、LINE Score(ラインスコア)をリリースしました。アプリ内で簡単な質問に答えるだけでスコアが算出できる手軽さが魅力です。スコアに応じてLINE Pay(ラインペイ)の還元率が上がるなど、他のサービスとの連携ができるのがユーザーに評価されて利用者が増えています。
その他の企業でもサービスの開始時期が近づいてきています。お得なキャンペーンもあるので目が離せません。
信用スコアは日本でも普及するか
信用スコアについて海外の事例を中心に説明してきました。基本的にはユーザー、事業者、社会にそれぞれメリットがあり、世界に大きな影響を与えています。
情報の取り扱いなどは慎重にならざるを得ませんが、日本でもそう遠くない将来に多くの人がスコアを持つ社会が到来するかもしれません。
すでに利用できるサービスがありますので、登録をして最新の動向をチェックしてお得な情報を逃さないようにしましょう。