ロシア政府が2026年に作成したとされる内部文書の内容が明らかになり、ウクライナ戦争の終結後を見据えた米国との経済連携構想の中核に、ドル決済システムへの復帰が盛り込まれていたことが分かりました。
問題の内部メモは、ウクライナ和平と対ロ制裁の緩和を前提に、米国との経済関係を立て直すことを目的とした高官レベルの文書とされています。
報道によりますと、提案は7つの分野から構成されており、航空機製造への米国参加、石油やLNGの共同開発、米企業のロシア市場復帰支援、核エネルギーやAI分野での協力、資源開発、化石燃料分野の強化などが盛り込まれています。
その中でも、ドル決済網への復帰は、構想全体の柱と位置づけられています。
関係者の注目を集めているのが、エネルギー取引を含むドル決済システムへの再参加です。
ロシア側は、この復帰によって為替市場の流動性を高め、国際収支の安定につなげるとともに、米ドルの基軸通貨としての地位強化にも貢献できると見ています。
制裁強化以降、人民元やルーブル建て決済へ軸足を移してきたロシアにとって、これは大きな方向転換を意味します。
ブルームバーグによると、この構想は、米ロ双方の「損にならない関係」を前提に描かれています。
過去に凍結された米国企業の投資資金の回収や、新たな資源・エネルギー開発を通じて、両国に実利をもたらす設計が意識されているといいます。
ただし、この提案が実際に米政府へ正式に示されたかどうかは確認されていません。
ロシアのプーチン大統領も、米国との間で資産凍結解除をめぐる交渉が進んでいることに言及しています。
トランプ陣営の「和平評議会」に対し、凍結資産から10億ドルを貢献する可能性にも触れており、経済関係の正常化を強く意識している姿勢がうかがえます。
米国内では、この動きを警戒する声も広がっています。民主党のクリス・マーフィー上院議員は、ロシアがトランプ陣営の関係者を経済的に優遇する見返りに、ウクライナ問題で譲歩を引き出そうとしている可能性があると指摘しました。
安全保障と経済が結びつく構図への懸念が、政治の現場でも強まっています。
エネルギー取引で再びドルが主流となれば、為替市場や資源市場の資金の流れにも変化が生じる可能性があります。
もっとも、この構想はウクライナ和平と制裁緩和という高いハードルを前提としています。米国側がどこまで歩み寄るのかは見通せず、国内外の反発も予想されます。構想がすぐに現実のものになるとは言い切れない状況です。
参照:Bloomberg