ブロックチェーン決済企業リップルは2026年3月11日、企業評価額約8兆円を前提に、最大約1200億円規模の自社株買いを開始しました。

仮想通貨市場の不透明感が続く中でも今回の施策に踏み切ったことは、同社が財務基盤と成長見通しに強い自信を持っていることを示す動きといえます。

今回の自社株買いは、既存投資家および従業員を対象とした公開買付として実施され、2026年4月まで続く予定です。

今回提示された企業評価額は、2025年11月の資金調達時に示された約6兆4000億円から約25%引き上げられた水準となり、非公開企業であるリップルにとって、自社株買いは既存株主に流動性を提供する数少ない手段の一つでもあります。

事業拡大と株主還元を両立する資本戦略

こうした動きの背景には、近年の積極的な事業拡大があります。
リップルは2025年、デジタル資産のプライムブローカーであるHidden Roadを約2000億円規模で買収するなど、機関投資家向けサービスの強化を進めてきました。

ブラッド・ガーリングハウスCEOは当時、米国の規制環境が改善し、仮想通貨市場が伝統金融のニーズに応える形で成熟しつつあるとの認識を示しています。

今回の自社株買いは、こうした事業拡大を進めながら、株主への価値還元も意識した資本政策の一環とみられます。

一方で、同社は株式公開(IPO)については慎重な姿勢を維持しています。
モニカ・ロング社長は2026年1月の時点でIPOの計画はないと明言しており、当面は非公開企業として事業を推進する方針です。

今回の自社株買いは、上場による資金回収ではなく、非上場のまま企業価値向上と株主流動性の両立を図るリップルの姿勢を示すものといえます。

今後の焦点は、今回の公開買付にどの程度の応募が集まるかに加え、完了後の資本政策や成長投資の方向性です。

仮想通貨業界では事業拡大を優先する企業が多い中で、株主への流動性提供を伴う資本政策を打ち出した今回の動きは、非上場の有力企業が成熟段階へ移行していく流れを示す事例として注目されそうです。

参考元:bloomberg

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