トランプ政権の暗号資産顧問であるパトリック・ウィット氏は12日、特定の規制に準拠したステーブルコインがアメリカの銀行システムに新たな預金流入をもたらすとの見解を自身のXアカウントで示しました。

この発言は、ステーブルコインが銀行預金を奪うという既存の懸念とは逆の視点を提示するものであり、デジタルドルを巡る規制議論に一石を投じるものとなります。

海外のドル需要が銀行預金流入につながる可能性

ウィット氏は、「報酬や利回りの議論で見落とされているのは、GENIUS法に準拠したステーブルコインが実際に預金流入をもたらす仕組みだ」と指摘します。

同氏によれば、世界的に米ドルへの需要は依然としてに強く、海外の投資家や利用者が自国通貨を米国の発行者が発行するドル建てステーブルコインに交換する際、その資金は結果的に米国の銀行システムに「純粋な新規資本」として流入すると説明しています。

この主張は、ステーブルコインが銀行預金を奪う存在ではなく、むしろ米ドルの国際需要を米国の金融システムへ取り込む仕組みとして機能する可能性を示唆しています。

「ステーブルコインは預金ではない」と強調

今回の発言に先立ち、ウィット氏は2026年3月4日にも、ステーブルコインと銀行預金を同一視するべきではないと強く主張していました。

これは、JPMorganのジェイミー・ダイモンCEOらが利回り付きステーブルコインに銀行と同様の規制を課すべきだと主張していることへの反論です。

ウィット氏は、「利回りを支払うこと自体が銀行のような規制を必要とするのではなく、その原資となるドルを貸し出したり再担保したりすることが問題なのだ」と述べています。

そのうえで、「GENIUS法(ジーニアス法)」が、ステーブルコイン発行者による裏付け資産の不透明な運用や過度なリスクテイクを明確に禁じている点を強調しました。

同氏は、こうした規制の枠組みがあることで、ステーブルコインは銀行預金とは異なる金融商品として位置付けられると指摘しています。

今後の注目点

GENIUS法はすでに成立しており、今後は実施規則の具体化や、銀行業界・市場参加者がこの新たな枠組みをどのように受け止めるのかが注目されます。

また、ウィット氏の主張に対し、銀行業界がどのような反応を示すのかも今後の論点となりそうです。

もしステーブルコインが実際に海外資金を米国の銀行システムへ取り込む仕組みとして機能することが確認されれば、銀行と暗号資産業界の関係も「競争」から「補完」へと再定義される可能性があります。

画像:shutterstock

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