Facebookがイニシアチブをとる新しい暗号通貨プロジェクト、リブラ(Libra)が発表されてから数ヶ月が経ちました。Libraのミッションは、数十億人のエンパワーメントにつながる、シンプルでグローバルな通貨と金融インフラを提供することであるとされています。
基本に立ち返りますが、Libraはそもそもなぜブロックチェーンで実現されるべきなのでしょうか?この問いについて、Libra共同創業者のデビッド・マーカス(David Marcus)氏がブログで解答しています。(参照)
その理由は3つに整理されています。
既存の送金ネットワークは設計が古すぎる
まず、既存の国際送金ネットワークが設計が古すぎることがあげらています。特定の地域のネットワーク、ACH、 European Payments Counci、または広範囲の送金ネットワークのSWIFT、RT1などこれらはほとんど全て1960年代、または1970年代に設計されたものです。
設計されたその時点では、インターネットは存在せず、それらの設計自体が古いばかりではなく、インターネットが普及した今、インターネットユーザーの使用に最適なものではありません。
さまざまなウォレットや口座から送金できるインターオペラビリティの実現
現在、Eメールはどのようなメールプロバイダサービスからどのようなメールアドレスにも送受信することができます。しかしながら、現在のインターネットの送金システムにおいては、それが実現できません。
例えば、ペイパル(PayPal)のアカウントからウィーチャット(WeChat)には送金できません。。Eメールのインターオペラビリティ・相互運用性は、SMTPプロトコルがあるから実現しています。Libraはプロトコルになりえて、Facebookのウォレットから、他のウォレットサービスにも送金ができます。
国際送金には経由する中間者が多すぎる
現在の国際送金においては、経由する中間者が多すぎることも問題です。ある国の銀行Aから別の国の銀行Bに送金を行う場合は、中間銀行(コルレス銀行)を経由する必要があります。
また、目的地の銀行のユーザーが送金を受け取るには多くの場合、流動性プールを必要とします。これは仕組みとして多くの機会コストを消費していることを意味します。ブロックチェーン上で誰かに送金する場合は、AからBに対して、なにかを経由する必要がなく送金が実現できます。
ブロックチェーンの価値
これらは十分にブロックチェーンの価値を説明している3点であると言えます。特に2つ目のさまざまなサービス間で共通利用できるインターオペラビティ性はブロックチェーンだからこそ可能な点です。
誰もがネットワークの最新の状態を確かに閲覧でき、ネットワーク内の送金情報を自身のサービスに反映できるからこそ、これが実現されています。もっともこの3点は、すでにビットコイン(BTC)でもイーサリアム(ETH)でも実現されていることであり、Libraがそれらよりもさらに使われる存在になるためには加えてなにかしらの工夫が必要でしょう。
【こんな記事も読まれています】
・Facebookの仮想通貨「Libra(リブラ)」概要を解説!今後の懸念と可能性まとめ
・リブラ(Libra)の動きに乗じたサードパーティー企業の動き、ビジネスチャンスにするには?
・Facebookの仮想通貨プロジェクト「Libra」は世界規模になるか
d10n Labのリサーチコミュニティでは、ブロックチェーン業界の動向解説から、更に深いビジネス分析、技術解説、その他多くの考察やレポート配信を月に20本以上の頻度で行なっています。コミュニティでは議論も行えるようにしており、ブロックチェーン領域に積極的な大企業・スタートアップ、個人の多くに利用頂いています。
▼d10n lab 未来を思考するための離合集散的コミュニティ
https://d10nlab.com