- 金商法改正案で仮想通貨取引所に「大きな試練」
- 金融庁は、仮想通貨ビットコインなどの証拠金取引に対して金商法改正案で厳格に規制し、「第二の登録」を義務付ける方針だ。21年9月末までに未登録の仮想通貨交換業者(みなし業者)は、”事実上の廃業勧告”となり得る。
金商法改正案で仮想通貨取引所に「大きな試練」
政府は15日、仮想通貨の交換業者や取引に関する「資金決済法」と「金融商品取引法」の改正案を閣議決定した。
2017年4月に、世界に先駆け「資金決済法」で仮想通貨交換業者に登録制を導入した金融庁。日本経済新聞の報道によれば、今回の改正案の柱となるのが、通常の現物取引とは別に、少ない元手でレバレッジ取引が可能な「証拠金取引(BTCFX)」の規制だという。
提供する企業には、別途、金商法上での登録をクリアする必要が生じるという。
背景にあるもの
その背景には、ビットコイン価格など仮想通貨市場の長期的な低迷の影響で、現物取引における魅力が低下したことに伴い、国内外の証拠金・信用取引に個人投資家の投機マネーが流れ込んでいる現状がある。
信用取引は、顧客が補償金として金銭や仮想通貨を預託し、業者指定の倍率を上限に業者から仮想通貨を借り入れ、それを元手として仮想通貨の売買・交換を行う取引で、ハイリスク・ハイリターンな投機需要を背景に人気を博している。
金融庁の第一回研究会の資料データでも、国内の仮想通貨取引全体の内、証拠金・信用・先物取引が占める割合は、実に81.61%にも及ぶ(現物取引は18.39%)ことがわかっており、その大半がbitFlyerFXで行われていると見られている。
このような状況の中、金融庁研究会では、「未成熟な仮想通貨市場の現状を鑑みると、現行の最大倍率は高すぎる」とこれを問題視、日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)の金融庁認定を受け、「義務」として規制ルールの制定へ動いた格好だ。
CME及びCboeがデリバティブ取引の提供を行なっている米国では、機関投資家などプロのトレーダーでも、ボラティリティを踏まえて2倍が適切だと判断、最大倍率を2倍に規定しており、判断基準の一つとされている。
期限切れの取引所には、事実上の廃業勧告か
特に注目したいのは、登録のリミットに、改正法の施行予定日である20年4月から起算して、「1年半」という期限を設けることで、適正な基準を満たさない「みなし業者」の淘汰を図るとともに、投資家保護につなげたい考えを示している点だ。
つまり、21年9月末までに未登録の仮想通貨交換業者(みなし業者)には、”事実上の廃業勧告”となり得る。
さらに金融庁は、交換業者の取引内容に応じて細かく分類していく方針だ。例えば、証拠金取引を行う業者は1種、配当を出すなど投資性を有したICO(資金調達)でトークンを発行する業者が2種とする案を検討しているという。
すでに金融商品取引法の登録審査をクリアしている大手証券が仮想通貨業界に参入した場合も、別途、変更手続きを求める方針だ。