暗号資産(仮想通貨)は10年余りの歴史を通じて、人気が徐々に高まり、エコシステムは大きく進展しています。中でもビットコイン(BTC)は、時価総額が1,750億ドル(約19兆円)と市場を独占し、そのエコシステムは伝統的な投資家をより一層引き付けるところまで進展しています。
JPモルガンは2月21日、仮想通貨が主流化して採用されているとの2019年調査報告書を公表、仮想通貨業界は18年と比較して「成熟した」と分析しています。
ビットコイン1万ドル突破も、投資家の信頼回復はまだまだ
JPモルガンのリポートは「仮想通貨の2019年時価総額は、この時点で約2,350億ドルにまで回復した。時価総額が2018年初頭の8,000億ドルをピークにして、19年初めには約1,250億ドルまで厳しい価格下落を見た後の状況である」と解説しています。
ビットコインの時価総額が上昇するとともに、仮想通貨の全体市場におけるビットコインの市場シェアも上昇し続けています。しかし、20年初めには、ビットコインの優位が揺らぐアルトコインの時代が到来するかもしれないという推測も出ています。
JPモルガンのリポートは、ビットコイン価格は1万ドルという心理的抵抗ラインが20年初めに破られ、市場独占が今後も続くだろうと予測しています。
リポートによると、伝統的な投資家の見方からすれば、仮想通貨はなお最も利益の上がる選択肢とはなっていません。仮想通貨は引き続き、投資家の全幅の信頼を勝ち取ることができない資産クラスにとどまっています。リポートは「株式価格が大きく下落する際、債券や円、金(ゴールド)などの価格は一貫して上昇するが、暗号資産の価格が上昇することはできない」と分析しています。
仮想通貨が投資ポートフォリオに入り得ない理由は大きなボラティリティ
リポートはもう1つ別の大きな障害を指摘しています。仮想通貨が投資ポートフォリオになりきれない大きな理由は、ビットコインのようにボラティリティ(価格変動)が大きいことであり、それが主流の投資家が警戒する理由となっています。
リポートは、仮想通貨市場が円熟したと評価していますが、他の金融資産との比較で投資家の採用を阻む問題があることを認めています。
仮想通貨インデックスファンドのビットワイズ(Bitwise)は、金融アドバイザーの観点から、JPモルガンのリポートと同様の分析をしたリポートを今年初めに公表しました。そのリポートによると、回答者(金融アドバイザー)が2019年末時点で、クライアントに推奨する投資ポートフォリオの中に仮想通貨を含めたのは僅かに6%に過ぎませんでした。
金融アドバイザーが投資ポートフォリオに仮想通貨を推奨する数が倍増へ
しかし、同じ質問つまり仮想通貨を投資対象として推奨するかどうか、2020年に向けて計画しているかどうか聞いたところ、その答えはかなり前向きです。
リポートの要点は以下のようなものです。
- 2020年に当たってクライアントの投資ポートフォリオに仮想通貨を含めるアドバイアーの数は、前年の6%から13%へと倍増している。
- 推奨する主な理由は、仮想通貨が他の資産との無関係が薄いもしくは関連性がないこと。その他には、潜在的なリターンの高さ、クライアントの需要増加、新たなビジネスで勝とうとする意欲など。
- アドバイザーの64%が、今後5年にわたりビットコイン価格の上昇を期待している。前年のそれは55%だった。逆にビットコインの価格がゼロになるまで下落すると予測するアドバイアーは14%から8%にまで減っていた。
参考
・J.P. Morgan Perspectives
・The Bitwise / ETF Trends 2020 Benchmark Survey of Financial Advisor Attitudes Toward Cryptoassets
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