中国政府は5月下旬以来、新疆ウイグル自治区と内モンゴル自治区、青海省に次いで今度は雲南省でも、ビットコイン(BTC)のマイニング(採掘)事業がすべてあるいは一部操業停止に追い込まれています。暗号資産(仮想通貨)業界は、今回のマイニング規制は何らかの政治的背景があるのかどうか、それともこれまでの規制と同様一時的なものかどうか見極めたいとしています。
ビットコイン採掘難易度が5.3%下落
ビットコインの採掘難易度(mining difficulty)は6月13日、5.3%下落しました。主要なマイニングプールは、マイニン中止命令後、平均してハッシュレートが20%下落しています。BTCの採掘の場合、ブロック生成率は平均10分に1回となるように2週間に1回調整されます。6月9日に行われた最近の調整後、6月9日から14日までの期間の平均ブロック生成率は9.9分から12分以上もかかるようになってしまいました。
マイニング締め付けは雲南省に及び、電力使用の一斉調査へ
中国政府によるビットコイン採掘締め付けは、最近では雲南省にまで及んでいます。2019年7月から開始されたビットコインネットワークの年間電力使用料のリアルタイム指標であるケンブリッジ・ビットコイン電力消費指数(Cambridge Bitcoin Electricity Consumption IndexI)によると、中国は世界のビットコインハッシュレートの65%を占め、雲南省のハッシュレートは、中国国内の第4位です。
国営の中国証券ジャーナル(China Securities Journal)によると、雲南省政府はビットコイン採掘に関係する企業および個人のすべて違法な電気使用の調査を開始するとの通告を発しました。報道によると、雲南省政府エネルギー局は、BTCマイニングのため電力を不正利用した人すべてに電力供給を中止する用意があり、他の3省と同様にマイニング停止を命令することになります。
仮想通貨市場の締め付けはデジタル人民元発行の「ソフトランディング」
中国はまた5月19日、金融機関やクレジットなど決済会社に対して仮想通貨のサービス提供を禁止する方針を明らかにしました。コインベース(Coinbase)やバイナンス(Binance)などの世界大手取引所も禁止命令に中に含まれています。実行されれば、中国では今後、決済手段として仮想通貨を利用できないだけでなく、これら金融機関を通じて国外に転送することもできなくなります。
中国政府はまた、「国民の財産の安全を侵害し、正常な経済・金融秩序を乱す」ことを理由に、仮想通関への投資をしないよう警告しています。
6月20日前後から大手メディアが中国の動きを深刻に捉える報道が出始めています。ロイター通信(6月21日)の最新のニュースによると、新たに四川省が仮想通貨マイニングを禁止します。仮想通貨市場は6月以来、ビットコインやイーサリアム(ETH)などの価格が大幅に下落しています。多くの観測筋は、今回の締め付けは、中央銀行デジタル通貨(CBDC)つまりデジタル人民元発行の「ソフトランディング」が狙いだとコメントしています。
参考
・Bitcoin mining difficulty drops 5% after Xinjiang’s miner shutdown
・Why Cryptocurrency Stocks Plunged Today
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