暗号資産(仮想通貨)市場が本格的な強気傾向を見せる中、複数のブロックチェーン分析企業が、オンチェーン指標から今後のさらなる強気市場を予測しています。あるアナリストはビットコイン(BTC)の高騰が、現行価格の4倍にまで達すると予測しています。
強気の継続を示すMVRV比率
1月のビットコイン現物ETF承認から始まった今回の強気傾向は、わずか2ヶ月弱でビットコイン価格を50%押し上げました。しかしトレーダーにとっては、この強気が市場の不安定さに感じられるかもしれません。
前回2020年の半減期後に記録したドル建てでの過去最高値は、2024年3月の第一週まで未だに破られていませんでした。ところが想定されたスケジュールよりずっと早く、3月5日にビットコイン価格は最高値を更新してしまいました。半減期に同調した4年の強気サイクルは、完全に狂ってしまったのでしょうか?
クリプトクオント(CryptoQuant)の調査部門トップであるジュリオ・モレノ(Julio Moreno)氏は、「今のところ4年の周期は正常に動いている」と述べ、2022年11月に15,500ドルの底値に達して以降、4年周期に同調していると分析しています。
ビットコインの強気と弱気を判断する効果的な手法として、クリプトクオントではMVRV比率(Market Value to Realized Value)をよく使います。この指標はビットコインの「時価総額」を「実現時価総額」で割って求められます。実現時価総額とは、その時点で実際に売られたビットコインの合計販売額です。このMVRV比率が高い場合、投資家はより多くの利益を得ることができ、ビットコインの売却意欲も高まるため、強気市場はピークを迎える可能性があります。
モレノ氏は、「現在のMVRV比率は、周期のピークを示す3.7という閾値をまだ超えていない」として、指標は強気市場の始まりが2023年1月だったことを示しており、実際の価格動向も指標に同調していると指摘しています。しかしETFへの期待感の高まりが、過去最高値の更新を早めてしまったと見ているようです。
さらにモレノ氏は、「我々は市場サイクルを極端な弱気、弱気、初期の強気、強気、過熱した強気という5つに分類するが、現在の市場はまだ強気のフェーズだ」と述べ、これから5番目の過熱した強気がやってくると予測しています。
本格的な強気市場はこれから
一方でグラスノード(Glassnode)は周期の分析にMVRV比率も使っていますが、ほかにも投資家の資産長期保有率やSOPR比率(Spent Output Profit Ratio)などを利用しています。
SOPR比率とは市場全体における、ある時点でのビットコイン「売却価格」を「平均購入価格」で割った数値です。この数値からは投資家の利益と損失の相関性を知ることができます。
3月6日時点でSOPR比率の90日間移動平均線は、2021年5月始め以降見られなかった1.03という高い数値を示しました。これは多くの投資家が売却益を得ている状態です。
グラスノードのアナリストであるジェームズ・チェック(James Check)氏は超強気派で、3月7日のインタビューでは、「この周期で250,000ドル(約3,700万円)に届かなかったら驚きだ。今回の上昇トレンドは極めて強固なものだよ」と述べるなど、ビットコインにはまだまだ成長する余地があると主張しています。
参考
・Is This Bitcoin Bull Market Early? Here's What the Data Says About Timing the Top
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