中国招商銀行の子会社である招銀国際証券(CMB International Securities)が2025年8月18日、香港で仮想通貨取引サービスを正式に開始しました。同社は7月11日に香港証券先物委員会(SFC)から仮想資産サービスプロバイダーライセンスを取得し、中国系銀行系証券会社として初の仮想通貨取引所となりました。
要点
- 招銀国際証券が2025年8月18日に香港で仮想通貨取引サービスを開始
- 中国系銀行系証券会社として初の仮想資産サービスプロバイダーライセンス取得
- ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、テザー(USDT)の24時間取引を提供
- プロ投資家(適格投資家)限定のサービス
- 中国招商銀行は1.7兆ドル超の資産を管理する中国最大級の銀行
CMB International証券による仮想通貨取引サービスの詳細
サービス開始の経緯と背景
招銀国際証券(CMB International Securities Limited)は、中国の大手銀行である中国招商銀行の完全子会社として、2025年7月11日に香港証券先物委員会(SFC)から既存証券取引ライセンスの仮想通貨取引サービス対応への格上げ承認を取得しました。
出典:Wikipedia - 深圳の中国招商銀行タワー
提供される取引サービス
同社の仮想通貨取引サービスには以下の特徴があります:
取扱通貨
- ビットコイン(BTC)
- イーサリアム(ETH)
- テザー(USDT)
サービス仕様
- 24時間体制の取引サービス
- モバイルアプリ経由での取引
- プロ投資家(適格投資家)限定
- 厳格なKYC(本人確認)・AML(マネーロンダリング対策)の実施
香港の仮想通貨規制環境
香港証券先物委員会(SFC)の規制方針
香港は「一国二制度」の下で中国本土とは異なる規制環境を維持しており、仮想通貨ハブとしての地位を確立しています。
主要な規制動向
- 2025年2月にSFCが発表した「ASPIRe 5本柱戦略」の推進
- 8月1日にステーブルコイン発行者向けの規制枠組みを最終決定
- 仮想通貨カストディに関する包括的なセキュリティ要件の導入
ステーブルコイン規制の最新動向
2025年8月1日から、香港では新たなステーブルコイン規制が施行されました。この規制により、ライセンスを持たない法定通貨参照型ステーブルコインを個人投資家に提供・宣伝することは犯罪行為とされています。
中国本土との対照的な政策
中国での仮想通貨規制
中国本土では2017年から仮想通貨取引が全面禁止されており、招商銀行の本社がある深圳でもこのようなサービスは違法です。中国政府は一貫して仮想通貨取引を違法とし続けています。
中国の規制状況
- 2017年:仮想通貨取引の全面禁止
- 継続的な取締強化
- 金融機関による仮想通貨関連サービスの提供禁止
香港の戦略的ポジション
一方、香港は仮想通貨ハブとしての地位を強化しており、規制の明確化と市場参加者の保護を両立させた政策を推進しています。
出典:AMG Wealth - 香港国際金融センター
中国招商銀行の企業概要
規模と実績
中国招商銀行は中国最大級の銀行の一つで、以下の実績を有しています:
主要指標(2025年3月末時点)
- 総資産:1兆7,000億ドル超
- A株時価総額:1,531億6,000万ドル
- 金融サービスの多角化展開
子会社の事業展開
招銀国際証券は招商銀行の完全子会社である招銀国際金融の重要なメンバー企業として、香港証監会から第1類(証券取引業)と第4類(証券助言業)の規制業務ライセンスを保有しています。
今後の展開と業界への影響
段階的なサービス拡張
同社は今後、リスク管理とコンプライアンス枠組み内で段階的に以下の拡張を計画しています:
- 仮想通貨取引範囲の拡大
- 取引機能の強化
- 伝統的な株式取引とデジタル資産の統合
- フィンテックサービスとの連携
業界への影響
中国系銀行系証券会社初の仮想通貨取引サービス開始は、以下の影響をもたらすと予想されます:
- 香港の仮想通貨ハブとしての地位向上
- 機関投資家の仮想通貨市場参入促進
- アジア太平洋地域での仮想通貨取引の活発化
- 規制の明確化による市場の健全性向上
取引所紹介
日本で仮想通貨取引を検討している方向けに、金融庁認可の主要取引所をご紹介します。
BitTrade(ビットトレード)
主な特徴
- 金融庁登録番号:関東財務局長(暗号資産交換業者)第00007号
- フォビジャパンから事業承継した実績豊富な取引所
- 30種類以上の豊富な暗号資産を取扱
- プロ向け取引ツール「BitTrade Pro」を提供
- 2段階認証やコールドウォレット管理による高いセキュリティ
取扱銘柄:BTC、ETH、XRP、ADA、DOT、LTC、BCH、XLM、QTUM、BAT、ONT、TRX、JASMY、SHIB、PLT、IOST、ENJ、OMG、XTZ、SAND ほか
手数料
- 売買手数料:Maker 0.000〜0.200%、Taker 0.000〜0.200%
- 入金手数料:銀行振込は無料(振込手数料は顧客負担)
- 出金手数料:330円
- 送金手数料:通貨により異なる
最小購入額:0.0001BTC~ 積立サービス:○ スマホアプリ:○
SBIVC取引所
主な特徴
- 金融庁登録番号:関東財務局長(暗号資産交換業者)第00011号
- SBIグループの金融ノウハウを活用
- 入出金・送金手数料が無料
- レンディングサービス「貸コイン」を提供
- NFTマーケットプレイス「SBINFT Market」との連携
取扱銘柄:BTC、ETH、XRP、LTC、BCH、LINK、DOT、ADA、DOGE、XLM、XTZ、ATOM ほか
手数料
- 売買手数料:無料(スプレッドあり)
- 入出金手数料:無料
- 送金手数料:無料
最小購入額:0.0001BTC~ 積立サービス:○ スマホアプリ:○
Coincheck(コインチェック)
主な特徴
- 金融庁登録番号:関東財務局長(暗号資産交換業者)第00014号
- 東証プライム上場のマネックスグループ傘下
- 初心者にも使いやすいシンプルなUI/UX
- NFTマーケットプレイス「Coincheck NFT」を運営
- 電気・ガス料金支払いでビットコインがもらえるサービス
取扱銘柄:BTC、ETH、ETC、LSK、XRP、XEM、LTC、BCH、MONA、XLM、QTUM、BAT、IOST、ENJ、OMG、PLT、SAND、DOT、FNCT、CHZ、LINK、MKR、MATIC、APE、AXS、IMX、WBTC、AVAX、SHIB ほか
手数料
- 売買手数料:無料(スプレッドあり)
- 入金手数料:銀行振込は無料(振込手数料は顧客負担)
- 出金手数料:407円
- 送金手数料:通貨により異なる
最小購入額:500円~ 積立サービス:○(月1万円から) スマホアプリ:○
bitbank(ビットバンク)
主な特徴
- 金融庁登録番号:関東財務局長(暗号資産交換業者)第00004号
- 取引量国内No.1の実績(2021年2月14日 CoinMarketCap調べ)
- 全通貨ペアで板取引が可能
- 高い流動性を確保した取引環境
- TradingView チャートを採用した本格的な分析ツール
取扱銘柄:BTC、XRP、LTC、ETH、MONA、BCC、XLM、QTUM、BAT、OMG、XYM、LINK、MKR、BOBA、ENJ、MATIC、DOT、DOGE、ASTR、ADA、AVAX、AXS、FLR、SAND、APE、GALA、CHZ、OAS、MANA、GRT、RNDR、BNB、ARB、OP、DAI、KLAY、IMX、MASK ほか
手数料
- 売買手数料:Maker -0.02%、Taker 0.12%(一部通貨ペア)
- 入金手数料:無料
- 出金手数料:550円/770円(3万円未満/以上)
- 送金手数料:通貨により異なる
最小購入額:0.0001BTC~ 積立サービス:○ スマホアプリ:○
GMOコイン
主な特徴
- 金融庁登録番号:関東財務局長(暗号資産交換業者)第00006号
- GMOインターネットグループのセキュリティノウハウ
- 入出金・送金手数料が無料
- 販売所・取引所の両方に対応
- レバレッジ取引・つみたて暗号資産・貸暗号資産など多様なサービス
取扱銘柄:BTC、ETH、BCH、LTC、XRP、XEM、XLM、BAT、OMG、XTZ、QTUM、ENJ、DOT、ATOM、XYM、MONA、ADA、MKR、DAI、LINK、FCR、DOGE、SOL、ASTR、FIL、SAND、CHZ ほか
手数料
- 売買手数料:無料(販売所はスプレッドあり、取引所はMaker -0.01%、Taker 0.05%)
- 入出金手数料:無料
- 送金手数料:無料
最小購入額:0.00001BTC~ 積立サービス:○(月500円から) スマホアプリ:○
BITPOINT(ビットポイント)
主な特徴
- 金融庁登録番号:関東財務局長(暗号資産交換業者)第00009号
- SBIホールディングス傘下の安心感
- 各種手数料が無料(売買・入出金・送金)
- 国内初上場銘柄を多数取扱
- 初回限定キャンペーンが充実
取扱銘柄:BTC、ETH、BCH、LTC、XRP、BAT、TRX、ADA、JMY、DEP、IOST、CLK、SHIB、KLAY、DOT、DOGE、FNCT、MATIC、TON ほか
手数料
- 売買手数料:無料
- 入出金手数料:無料
- 送金手数料:無料
最小購入額:0.00000001BTC~ 積立サービス:○ スマホアプリ:○
よくある質問(FAQ)
Q1. CMB International証券の仮想通貨取引サービスは誰が利用できますか?
プロ投資家(適格投資家)のみが利用可能です。香港の規制に基づき、一定の資産要件や投資経験を満たす機関投資家や富裕層個人投資家に限定されています。一般の個人投資家は利用できません。
Q2. なぜ中国系銀行が香港で仮想通貨サービスを提供できるのですか?
香港は「一国二制度」により中国本土とは独立した規制環境を維持しているためです。中国本土では2017年から仮想通貨取引が全面禁止されていますが、香港では香港証券先物委員会(SFC)の監督下で適切な規制フレームワークが整備されています。
Q3. 今後他の中国系金融機関も香港で仮想通貨サービスを開始する可能性はありますか?
可能性は高いと考えられます。香港政府は仮想通貨ハブとしての地位確立を目指しており、2025年2月にSFCが発表した「ASPIRe 5本柱戦略」により規制環境が整備されています。適格な金融機関であれば、適切なライセンス取得を通じてサービス開始が期待されます。
Q4. 日本の投資家はCMB International証券で取引できますか?
現時点では、同社のサービスは香港の適格投資家に限定されており、日本の投資家が直接利用することは困難です。日本の投資家が仮想通貨取引を行う場合は、金融庁認可の国内取引所を利用することが推奨されます。
Q5. 香港の仮想通貨規制は今後どのように発展する見込みですか?
香港は段階的に規制を強化・明確化する方針です。2025年8月1日にはステーブルコイン規制が施行され、今後もカストディサービスや機関投資家向けサービスの規制整備が進むと予想されます。市場参加者の保護と業界の健全な発展を両立させた政策が継続される見込みです。
まとめ
中国招商銀行系子会社による香港での仮想通貨取引サービス開始は、アジア太平洋地域の仮想通貨市場における重要な転換点となります。中国本土での規制とは対照的に、香港は明確な規制フレームワークの下で仮想通貨ハブとしての地位を確立しており、今後も機関投資家の参入促進が期待されます。日本の投資家におかれましては、金融庁認可の国内取引所での安全な取引をお勧めいたします。
出典
- CoinPost - 中国大手銀招商銀行傘下のCMB、香港で仮想通貨取引サービス開始
- Cointelegraph - 中国招商銀行系子会社、香港で仮想通貨取引所を開設
- CoinSpeaker - CMBインターナショナル、香港で仮想通貨取引を正式に開始
- 中国招商銀行香港分行
- みんかぶ - 金融庁登録済み暗号資産交換業者一覧
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