ブロックチェーンの普及に関係する重要な2種類のサイクルとは?

最近、シンギュラリティ(技術的特異点)という言葉を聞くことが以前より減った気がします。シンギュラリティとは、人工知能が人間の知性を超えるほど発達し、人間の生活に大きな変化が起こるという概念を指します。

また人工知能の権威であるレイ・カーツワイル(Ray Kurzweil)博士により提唱された「未来予測の概念」でもあります。

ブロックチェーンも同様?バズとアダプションのサイクルとは

2012-15年頃、さまざまなニュースメディアで、シンギュラリティという言葉が注目されたことは記憶に新しいと思います。まだこのシンギュラリティを信じている人も議論している人もいるかもしれないですが、この言葉のブームは去ったような気がします。

ところで、最近、Facebookで人の写真をアップすると、「この人は誰ですか?」の問いかけもなく、自動で人の顔にタグ付けされるようなっていることに気付いているでしょうか。

これは、Facebook上にアップされた画像データから特徴を抽出して、写真と個人を結びつける機械学習のアルゴリズムが裏で働いています。つまるところ、人工知能ですが、多くのユーザーは今、この機能を気にもせずFacebookを使っているでしょう。

シンギュラリティや人工知能がバズワード化して機械学習に多くの投資が集まったのが5年以上前であり、バズのあとには必ず普及期があって自然に生活に溶け込むという良い事例の一つです。

過剰なまでのバズがあった期間はどのような意味があったでしょうか。そこでの議論の多くは過剰なものでしたが、そのバズが技術に多くの投資を呼び込み、研究が進み、実装のためのビジネスの模索も進むことに繋がりました。それは多くの産業にとって発展の時計の針を推し進めたと評価できます。

ブロックチェーンの活用も、似たようにバズと普及のサイクルをたどることでしょう。結局、全ての産業がハイプサイクルを繰り返すということです。

ブロックチェーンにおける、アプリケーションとインフラストラクチャーのサイクルの関係

仮想通貨の関連企業であるミソス・キャピタル(Mythos Capital)の創設者、ライアン・ショーン・アダムズ(Ryan Sean Adams)氏は、ツイッターで次のようなことを主張しています。

YouTubeは1995年には実現性がないアイデアだったが、2005年にYouTubeが実現したことはインフラ(ブロードバンド)の進歩が影響していると振り返れます。

今、多く語られる実現性がないように思われるクリプトのアイデアを実現するためには同様にインフラ(プロトコル、トラストレスを実行できるミドルウェアとエコノミクス)が必要であるとRyan Sean Adams氏は、主張しています。

ドットコムバブルには、バズワード化したインターネットに様々なアイデアを紐づけて資金調達が行われました。(2017年に、ブロックチェーンと様々なアイデアを結びつけたICOバブルと類似します)

ドットコムバブルで創業された企業のほとんどが破産をしましたが、YouTubeがそうだったように、ドットコム時点にあった同様のアイデアが10年後、またはもっと後に実現をするような事例があります。

そのアイデアが技術的には恐らく可能であり、さらに社会で需要があるのにもかかわらず、現時点で実現していないのならば、その産業のインフラストラクチャーがまだ成熟していないという可能性が高いでしょう。

これについては、ユニオン・スクエア・ベンチャーズ(Union Square Ventures)のブログがよく説明しています。

アプリとインフラストラクチャーは、レスポンシブサイクルにあるといいます。

まずアプリのアイデアが生まれ、それに対応したインフラ部分が作られます。そしてインフラが少しできたと思ったらアプリが現実し、そのアプリによって、インフラが十分でないと気づいてインフラをまた作り直すというサイクル繰り返すというのが、このブログの内容です。

例えば、飛行機は、空港が存在する前に発明されました。飛行機だけあっても使えないので、空港ができます。飛行機がない世界では、空港を作ろうという発想はでません。

同ブログでは、1903年に人類は飛行機を作って、それに対応するインフラストラクチャーである滑走路を1919年に作り、空港を1928年につくり、エアトラフィックコントロールを1930年に作ったという例えを出しています。

このアプリとインフラストラクチャの-関係はインターネットやブロックチェーンにおても同様のことが言えます。

以下の画像はそれぞれ同ブログからの引用です。

こちらはインターネットにおいて、インフラとアプリケーションがどのようなサイクルで成長してきたのかを表しています。

インターネットサイクル図

そして、暗号通貨・ブロクチェーンにおいては、今の所このようになっているというのが下記の画像です。

ブロックチェーンサイクル図

こういったインフラストラクチャーは、アプリケーションレイヤーによる必要性に応じて改善されていくということは非常に興味深いと言えます。

そして、これと別に上述したバズと普及のサイクル、俗に言うハイプサイクルがあり、産業は成長していきます。

時間軸の捉え方や現在地の確認は難しいですが、多くの起業家や投資家にとって、これらの指摘は示唆あるものではないかと思います。

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参考
Union Square Ventures


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