
中国政府の暗号資産(仮想通貨)取引所に対する規制は、フォビ(Huobi)の優遇を例として、全ての取引所に対して均一に行われるのではなく、小規模な取引所へ強めていく方針を取るようです。
小規模取引所は過去最大の取り締まりの危機に
ブロックチェーン開発企業シノ・グローバル・キャピタル(Sino Global Capital)の最高経営責任者(CEO)マシュー・グラハム(Matthew Graham)氏は自身のツイートの中で、フォビとOKEx(オーケーイーエックス)は、中国政府からより好意的な承認を受けるだろうと予測しています。
Increasingly looks like China story is 1) Huobi and OKEx get *some* level of approval (“institutionalization”) 2) Binance and international exchanges mostly iced out 3) Small casino (“bucket shop”) exchanges like MXC and Biki get shuttered or chased offshore
— Matthew Graham (@mg0314a) 2019年12月2日
中国当局の仮想通貨取引所への取り締まりに関する報道は、あらゆる取引所を震え上がらせました。しかし当局の強硬な姿勢は、小規模で認知度の低い取引所に向けられることが明らかになっています。
中国の仮想通貨市場は現在も比較的活発です。OKExの1日あたりの取引額は5億2,800万ドル(約581億円)を超えており、時には10億ドル(約1,100億円)を超える日もあります。また同取引所はテザー(USDT)ベースの先物取引を公開したばかりです。
フォビは中国のブロックチェーン・サービス・ネットワークに加盟
中国において、仮想通貨取引所への取り締まりが強化される一方で、史上最大規模の詐欺とされるプラス・トークン(Plus Token)のような危険性の高いプロジェクトも黙認されており、現在では同様のスキームを持つプロジェクトのクラウド・トークン(Cloud Token)が未だに運営されているなど異様な動きとなっています。
しかし、中国政府は仮想通貨関連サービスに興味を持つ企業を集めて、政府がバックアップする新たな組織を計画中です。新華社通信(Xinhua news agency)によると「ブロックチェーン・サービス・ネットワーク同盟(Blockchain Services Network Alliance)」と呼ばれるその組織には、フォビを始めとして、チャイナ・テレコム(China Telecom)、招商局集団有限公司(China Merchant Banks International)、Webank(Weizhong Bank)などが名乗りを上げており、その中でもフォビは主導的立場になるとのことです。
フォビのケースは特別で、それは同取引所が中国南部の海南省に拠点を置いていることと関連しているようです。首都北京からの距離を適切に保つことで、中国国内での生き残りを図っていると、プリミティブクリプト(Primitive Crypto)創設パートナーのドビー・ワン(Dovey Wan)氏は語っています。
中国はすべてを規制するわけではない
規制の動きが強まる中、マイニング事情に目を向けると、依然として水力発電を使った中国企業の寡占状態が続いています。しかし、ビットコインの価格が大幅に下落したために機器のアップグレードが迫られています。今後はマイニング機器製造大手であるビットメイン(Bitmain)が開発した、最新機器の「Antminer S17」への需要も高まることが考えられます。
このように、中国政府も仮想通貨市場に敵対しているわけではなく、取引所の取り締まりは基本的に詐欺を目的するようなものに対してであり、他の関連事業に関してはさらなる支援を進めていく方針のようです。少なくとも、フォビやOKExなどの大手仮想通貨取引所は、中国当局による厳しい取り締まりを回避したと考えてもいいでしょう。
参考
・HUOBI, OKEX AVOID BEING ‘ICED OUT’ BY CHINESE GOVERNMENT
・Chinese Government Favors Some Exchanges, Sanctions Smaller Operators
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