仮想通貨ステーキングとは
前回の記事にてPoS(Proof of Stake)についてお伝えしました。その記事の中で、ステーキングとは株券と似たような仕組みである、とお伝えしました。本記事では、もう少し異なる角度から、ステーキングについて解説します。
1:ステーキングとは?
ステーキングは、基本的には株券と同じような仕組みです。株券では投資家という立場で事業の成長に関わり、株の発行体である企業の成長に応じた配当を得ます。
仮想通貨のステーキングでは、対象となるのは企業ではなくサービスや、そのサービスの基盤を構成しているブロックチェーンです。
ステーキングは、仮想通貨を自由に動かせない状態(ロック状態)にしてブロックに追加するデータの承認などの面でネットワークの維持に関わる見返りとして、その報酬を仮想通貨で受け取ります。
これまで、仮想通貨を資産として運用する場合には、長期保有するか、アービトラージ取引や、タイミングを見た売買が中心でした。ステーキングは、長期保有して資産を動かさずとも仮想通貨を増やすことができる資産運用方法です。
2:ステーキングが注目を浴びている理由
ステーキングが注目を浴びている理由は、いくつか考えられます。
まず1つめは、イーサリアム(Ethereum)のPoS採用です。数年前から協議と開発が進められてきイーサリアムのPoSへの移行は、ブロックチェーン業界にとって歴史に残るレベルの大きなステップである、といえます。
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しかし、イーサリアムだけがPoSを採用しているわけではありません。イーサリアム以外でもステーキングを採用しているサービスやプラットフォームがあります。
たとえば、誰もがスマホなどのモバイルデバイスから、メールを送るのと同じくらい簡単に仮想通貨を送れるプラットフォームを開発しているCeloや、執筆時点で時価総額8位のEOSなどが挙げられますです。
2つめは、仮想通貨の運用に対する見方の変化です。
これまでの仮想通貨は、価格乱高下の大きい、非常に高リスクな資産という見方も強くありましたしかされていませんでした。
しかし、ステーキングの登場により、そこまで大きなリスクを冒さなくとも低リスクで暗号資産を増やすことができる方法としての魅力が広まり、かつ、ステーキングを採用するプラットフォームの数が増えてきたこともあり、注目がこれまで以上に集まったと考えることもできます。
3:日本でステーキングを採用しているブロックチェーンと利率
実際に日本国内で提供されているステーキングサービスをもとに、どの程度の運用益が期待できるのかを見てみましょう。
2020年1月9日に、コインチェックがLiskのステーキングサービスをローンチしました。リリースが公開された時点で世界初の試みとなる、Liskを対象としたステーキングサービスです。このサービスは実証実験の一環とのことで、本格的なサービス開始はもう少し時間がかかる可能性があります。
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Liskのステーキングに参加する条件は、「取引アカウント」にて1日あたり平均10LSK以上保有しているか、「貸仮想通貨アカウント」にて貸出中でないLSKを1日あたり平均10LSK以上保有していることです。
いずれかの条件を満たし、Liskを口座から動かさずに運用することで、Liskのネットワーク維持に貢献できると当時に、運用益を受け取ることができます。
Coinmarketcapによると、Lisk(LSK)価格は、約250円(2月10日時点)です。すなわち、最低でも¥2,500円分のLSKを所有していれば、ステーキングサービスを利用することができます。
実際にLiskのステーキングに参加している方のブログ記事によると、年利は約0.5%だそうです。つまり、現在のLiskのステーキングサービスは低リスク・低リターンな暗号資産も運用方法である、と言えそうです。
年利0.5%は低い、と感じられる読者の方も多いかもしれません。では、既存の金融機関が提供している、法定通貨を基盤とした資産運用による年利はいくらほどでしょうか。
たとえば、「じぶん銀行」の円普通預金では円定期預金では、年0.25%(税引後 年0.19%)での運用となります。これと比較すると、LSKのステキーキングの利率は、単に法定通貨や仮想通貨を保有するよりも利益のある運用方法である、とも考えられます。
円を貯金して口座で眠らせたままにするか、それとも、仮想通貨をステーキングするか。どちらを選ぶかは、皆さんの資産運用戦略次第です。