仮想通貨テザーで3億USDTを新規発行
仮想通貨(暗号資産)テザー(USDT)で、3億USDTが新たに発行されたことが確認された。発行タイミングが、ビットコイン(BTC)の価格の下落と重なったことで、注目が集まった今回の事例。実際になにが行われていたか、状況を解説する。
300,000,000 #USDT (300,321,318 USD) minted at Tether Treasury
— Whale Alert (@whale_alert) February 20, 2020
Tx: https://t.co/0pAllfCsO2
大口の動向をトラッキングするBOTなどで報告された3億USDTの新規発行。実は、その数分後に同量のUSDTがバーン(焼却)されたことが確認されている。
具体的には、発行とバーンが行われたブロックチェーンは異なる。いわゆるチェーンスワップの事例に該当する。
今回の発行はイーサリアムのブロックチェーン上で実施、バーンが行われたのはTronのブロックチェーン上だ。これは、Tronブロックチェーンからイーサリアムに移されたチェーンスワップ(移行)の動きで、USDTの時価総額は変化しない。なお、大手仮想通貨取引所バイナンスがサポートしていたことも明らかになっている。
.@Tether_to and @binance have completed a chain swap of 300,000,000 $USDT from #Tron to #Ethereum.
— glassnode (@glassnode) February 20, 2020
This brings the total number of minted ERC20 $USDT to 2,658,282,552. https://t.co/bBLA9HfT4n
現在のUSDTの循環供給量は約46億4000万USDTで、その内およそ26億6000万USDTがイーサリアムのネットワーク上にある。そのブロックチェーン上のUSDTを保有しているアドレスは1位、2位共にバイナンスだ。
USDTの供給量
米ドルと1:1でペッグされているステーブルコインのUSDTは、時価総額で供給量を計ることができる。時価総額の以下のグラフをみると、1月に入って増加しているため、供給量も徐々に増加傾向にある。
USDTは仮想通貨取引の建値通貨としても需要を拡大しているほか、法定通貨からの流入経路になっているケースが多く、仮想通貨市場の強気相場を判断する材料にも使われる。