仮想通貨テザー、年初から2000億円相当の新規発行
テザー社のUSDT発行が止まらない。
BTC情報アラートの情報によると、USDTは2020年2月より急ピッチな発行が続いており、年初から2000億円相当の新規発行が行われている。
一時は、コインマーケットキャップのデータ反映が行われていなかったことで、仮想通貨市場の意識も薄い状況にあったが、同サイトでも3月末に実際の発行量データを時価総額に反映したことで、USDTの発行状況により市場の意識が向きつつある。
USDT時価総額(CMC):$6,189,053,736
— BTC情報アラート (@btc_status) April 2, 2020
USDT価格:$1.004
BTC価格:$6,592 (+0.7% ↑)
Tether公式情報(最終更新:4/2 6:18)
総資産:$6,365,975,607 (+0.8% ↑)
★負債:$6,250,067,928 (+0.8% ↑)
負債超過資産:$115,907,679 (-0.4% ↓) pic.twitter.com/7fsq8J4mvE
コインマーケットキャップの時価総額データでは、USDTの時価総額は4位。XRPの時価総額を追い抜く勢いだ。
テザー発行の状況
本日も新たに6000万ドルの新規発行が報告されているが、テザー社CTOのコメントによると、「在庫補充」を目的とした発行で、発行リクエストに応じるための在庫になるという。
しかし、在庫補充を目的とした発行ペースが急ピッチであることから、USDT自体の発行リクエストも増加していることが予想される。
また、在庫補充を目的とした発行であっても、新規に発行されていることから、一般的な時価総額には反映される。
60,000,000 #USDT (59,984,149 USD) minted at Tether Treasury
— Whale Alert (@whale_alert) April 1, 2020
Tx: https://t.co/5hdrTrBV79
取引所のステーブルコイン残高が過去最高に
このように発行されたUSDTは、どこに需要があるのか。
最もわかりやすい例が、各取引所で取扱いが行われるテザー建取引の需要高だ。
特に、金融市場と連動して価格が急落したビットコイン市場でも、資金の逃避先としての需要は高い。
取引所内の資産状況を報じたLongHashのレポートによると、取引所に滞留するUSDTとUSDCの合計は10億ドルを突破したという。3月初めの時点では、4億ドルしかなかったことから、ビットコインの下落相場に際し、大幅に需要が急増したことがデータから明らかになった。
この状況は、投資家が避難先としての利用をしている段階にあるため、資金を戻すタイミング(買い戻し)を見計らっているとTokenAnalysのアナリストは指摘する。
現時点では、いい状況とは言い難いが、仮想通貨市場外に資金を引き上げるより強気の指標であり、業界の中長期目線では、プラスに捉えられる状況だと論じた。
出典:longhash
BNN Bloombergも話題に
「コロナウイルスによる経済危機の中で、金融市場がパニックに陥る中、仮想通貨市場のUSDTが最大の勝者になった」としてブルームバーグが2日、報じた。
記事では、コインメトリックスの創業設立者が「世界がドルに資金を移している中で、USDTが金融システム外で取得できる最も不自由のないドルになった」と発言。一方で、様々なブロックチェーンを用いて発行されるUSDTの状況が、発行プロセスをより不透明にしているとの指摘が行われた。
世界的にKYCプロセスなどの身元確認が進む中で、利用規約のゆるい点もテザー需要を後押しする要因と見ている。
また、TokenAnalystの共同創設者は、テザーを使うユーザーが増加すると、取引も容易かつ早く行えることから、資金移動の点で速度が劣る法定通貨などと比較して、ビットコインのボラティリティ上昇に繋がる懸念もあると指摘。テザー需要の拡大が、業界にマイナスの影響を与えかねないと懸念を示したという。
テザー社Paolo Ardoino CTOは、「今後の発行額は予測できないが、USDTに対する高い関心度は今後テザーの安定した発行に繋がると見ている」と、今後の発行について述べている。
出典:bnnbloomberg