- 米シンクタンク、仮想通貨悪用の可能性を考察
- 米大手シンクタンクのランド研究所が、「テロ組織が資金洗浄で仮想通貨利用する可能性」に関するレポートを公表した。ビットコインなどの仮想通貨が、犯罪利用されないために必要な要素を探る。
米大型シンクタンク、仮想通貨の調査レポートを公表
米大手シンクタンクのランド研究所が、テロ組織による仮想通貨の利用に関するレポートを公表し、仮想通貨のテロ資金援助を促進・阻止する要因を指摘した。
ランド研究所は、米国に拠点を置く超党派の政府系シンクタンクで、国家の安全保障問題や最新の科学技術、社会福祉など多岐に渡る分野において調査や分析を行なっている。
特筆すべきは、同機関が仮想通貨に対し、「テロ組織の資金洗浄や資金供給の目的として、優れてはいない」と位置付けた点である。
また一方でランド研究所の調査によると、一貫性のない規制下にあって高い人気を誇る通貨に匿名機能が完備され、セキュリティが向上すれば仮想通貨がテロ組織に悪用される可能性があるとしており、テロ資金援助を阻める要因として以下の5点を挙げた。
- 仮想通貨に対する不安と内紛
- 取締機関の協力ー通貨の非匿名化と資金追跡機能の向上
- 大体的に使われる通貨が規制管轄下に置かれること
- 主要通貨以外の通貨の人気低下
- 相次ぐ取引所の詐欺やセキュリティ問題の継続
調査では、仮想通貨が未だに大体的に普及していない点を強調しており、仮想通貨の利用が一般的に拡大していないことが取引の追跡を困難にしていないと言及。
その背景には、仮想通貨コミュニティ内部の分裂や紛争、また仮想通貨自体に対する不安要素が払拭されていないことを挙げた。
また、世界各国で仮想通貨取引所のハッキングニュースが後を絶たない点、ICO詐欺も、年間69億ドルの資金調達に利用されていた2017年ほどではないものの、依然として多発していることも、間接的に仮想通貨のテロ資金援助を阻める要因となっていると説明している。
このような外部的な条件を挙げながらも、最終的にテロ団体の仮想通貨悪用を防止するカギとなるのは、「仮想通貨の法規制と監視」の整備と「各国の規制機関同士の国際協力」と規制の明確化を課題として指摘した。
特に大体的に使用される通貨が規制管轄下に置かれることが重要だとしている。
またランド研究所は、将来的に以下のようなことが実現すればテロ資金援助を促進する要因となりかねないとも予測している。
- 仮想通貨市場に対する信頼性向上
- 仮想通貨の大体的な普及(Mass Adoption)
- 主要通貨における匿名機能の向上
- 規制されていないDEx(分散型取引所)の台頭
- ダークネットでの利用普及(違法薬物や偽りの身分証明書の売買)
現在、日本の仮想通貨取引所ではAML(資金洗浄対策)やKYC・顧客管理体制が金融庁から仮想通貨登録交換業者として認定されるために必要不可欠である。
国連の安全保障理事会が先月発表した報告書によると、北朝鮮のハッカー集団と考えられているプロのハッカー集団「ラザルス」がコインチェックの仮想通貨不正流出事件の背景にあったことが公式発表されていた。
日本では、金融庁の管轄下で規制が強化され、仮想通貨業界が再建を見せつつあるが、いまだに規制が明確化されていない国では、ネガティブなニュースも絶えない状況にある。