【イベントレポート】NFTの活用から考える、ビジネスへのブロックチェーン応用とヒント

BlockBase(ブロックベース)株式会社が4月25日、HushHubのイベントスペースにて「ビジネスへのブロックチェーン適用の応用事例とヒント」というテーマのイベントを開催した。同社の代表取締役の真木大樹氏と株式会社メタップスの青木宏文氏が登壇し、NFTの活用ポイントについての発表と対談が行われた。

関連:仮想通貨の議論でよく聞く「Non-Fungible Token (NFT)」とは?

Non-Fungible Token(NFT)の魅力とは?

当日のイベントでは、BlockBaseの真木氏から実ビジネスへのNFTの活用について、NFTの説明からその魅力について発表を行った。

発表では、NFTはNon-Fungible Tokenの略称であり、デジタルデータに独自性を与える技術であると説明。また、NFTと通常のデジタルアセットの違いとして、例えば通貨であれば単位ごとの価値は同じであるが、NFTではそれぞれのトークンの内容が異なるのでトークンの価値は異なるという。

また真木氏は、ゲーム領域でNFTの使用が増えているとし、ゲーム内通貨として仮想通貨を使うパターンと、ゲームのキャラクターやアイテムでNFTを利用するパターンがあると解説。具体的な例として、クリプトキティというゲームのキャラクター1体ずつにIDとパラメーターが振られており、キャラクター毎に独自の価値を持っていることを挙げた。

NFTを活用について真木氏は、「今まで価値が付いていなかったものに価値を付けることができる。トークンの価値として、誰が保有していたか、どのように使われてきたかがブロックチェーンで分かるため、価値に反映されることもある」と述べている。

NFTの事業への応用について優れた点を検討する際に、NFTは仮想通貨ではないというところから始まると考える真木氏は、「通貨ではなくモノであるので、金融的な概念から切り離すことも可能であることがNFTの魅力である」と語った。

そしてビジネスで活用するためには、実装(代替不可能な仕様)や運用、価値の担保などを検討し、法規制の制限を受けずに実装することを考える必要があると指摘していた。

NFTをモノとして、スマートコントラクトで権利の移転や取引実績を作るために、国産のマーケットプレイス「bazaaar」を開発した。「bazaaar」では、クリプトキティやマイクリプトヒーローズなどのキャラクターを扱っており、スマートコントラクトで取引を自動的に実行する仕組みとなっている。

4月25日に開催されたイベントの様子

NFTの可能性と今後の活用事例

イベントの後半では真木氏とメタップスの青木氏による対談が実施され、NFTに注目する理由やゲーム以外の活用例についてトークを繰り広げた。

ーNFTと仮想通貨の違いは?

メタップス 青木氏:仮想通貨は通貨的な使われ方をするのに対して、NFTは1つ1つに識別できるIDが振られているので、個別商品などをデータで扱うことに適している。

BlockBase 真木氏:例えば1万円では札ごとに製造番号が異なるが、あまり気にしないと思う。NFTであると同じキャラクターであっても、パラメーター等の数値が異なるので、一律に同じ価値とはならない。

ーNFTに注目する理由は?

メタップス 青木氏:NFTが黎明期である市場ということ、新しいものを生み出せることに注目している。NFTはゲームを中心にユーザーが少しずつ増え始めているので、ブロックチェーンの領域では先行している。また、ゲーム上のキャラクターをNFTにすることで資産を自分で管理し、ゲーム外のマーケットプレイスで売買できる体験は従来のWEBアプリケーションとは異なる。

BlockBase 真木氏:マーケットプレイス「bazaaar(バザール)」を運用する上で、どのような価格で市場に出せば売買が成立するか検証している。マーケットプレイスでNFTのゲームキャラクターを扱うことは卸売業に近いような新しい感覚があり、NFTがより活発に取引されるとさまざまな種類のマーケットプレイスが登場すると考える。今後、付加価値の実装がポイントと考えており、それぞれのユーザーが考えるアイデアやプロダクト、アセットなどを実現することが必要となる。

ーゲーム以外にNFTはどのように活用される可能性があるのか?

メタップス 青木氏:X-Tech(VRやMRなど)の領域は取り扱っていきたい。バーチャルな世界と、ブロックチェーンは相性が良く、ブロックチェーンはデジタルデータに固有性を与えることで、バーチャル世界にリアリティを与えることができると考えている。

アート作品なども相性が良く、例えば作品の所在と所有権をブロックチェーンで管理・権利の移転ができれば、美術館に作品を置き、権利は自分にあるようなものが作れる。また、権利の移転ということであれば、X-Techをはじめ、さまざまなデジタルなものを貸し借りする際に
も、ブロックチェーンが有効となると考える。

BlockBase 真木氏:権利のやり取りを行う際、大事な要素としてKYC(顧客確認)がある。アート作品を売買する際、販売者が誰か分からなければ、取引の信用性が問題となり、売買の成立や権利の移転などを証明する取り組みも大事であると考えている。

また活用の事例として、自身の外観を3Dアセットとして作るものがあるが、それをNFTとすることも面白い。Vtuberであれば、キャラクターを表象したNFTを購入してキャラクターになりきれたり、またアイドルのNFTを買えば、自分と遊ぶようなことが可能になると考えている。世の中に浸透することはまだ先と考えるが、そのような世界観を受け入れる土台作りが必要となるだろう。

文:望月一弘

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