世界最大の取引所であるバイナンス(Binance)。本稿では、その他の取引所とは戦略が大きく異なる同取引所の直近の動きで特筆すべきものを解説します。
いよいよローンチが近づく「Binance DEX(分散型取引所)」
バイナンス(Binance)は12月の上旬に「Binance DEX」の新しいデモを公開しました。
間もなくテストネットが公開し、メインネットの稼働は今後数ヶ月以内に準備を行っているといいます。Binance DEXは、オリジナルチェーンであり、BNBトークンをブロックチェーンの使用料(gas)にし、WEBウォレットとブロックエクスプローラも同時にローンチをする予定だといいます。
バイナンスチェーン上では、セキュリティトークンやICOトークンが発行されることも想定されているといいます。トークン発行者にとっては、バイナンスブランドだけあって流動性を期待しやすいということはありそうですが、スマートコントラクトなどがどの程度使用できるかなどについては、言及されていません。
Binance DEXとしてのTwitterアカウントも開始しています。
ICYMI The #Binance DEX is coming together fast! See the latest updates on the development of this decentralized exchange.https://t.co/Tdc0FcHaDE
— Binance DEX (@Binance_DEX) 2018年12月5日
また、同社傘下のウォレットであるTrust(トラスト)では、Binance DEXを標準採用するともしています。
機関投資家をサポートする機能を拡充
バイナンス(Binance)も機関投資家のサポートすることを開始します。
サブアカウント機能をつけ、1つの企業アカウントで200個のサブアカウントを作り、その企業のトレーダーがそれぞれのアカウントを違う権限で使うことを想定しているようです。
サブアカウント同士の資金移動は手数料が無料で、個別にAPIキーが渡されるようです。こういった機能は従来の金融市場では一般的な機能であり、従来市場で機関投資家が使っていた機能は全て踏襲していくだろうと思われます。(参考:Coindesk )
各地で活発化するミートアップやアクセラレータプログラム
バイナンス(Binance)は世界各国でミートアップイベントなどを活発化させています。
Join us on Dec 19th in Moscow for our first ever #Binance meetup in Russia! Увидимся в Москве! #BinanceIsGlobal
Not yet part of our Russian Telegram community? You may join here: https://t.co/IW3arXzR0L
For more details and to register click here: https://t.co/2WAcsZVlrP pic.twitter.com/eeWi3YTqyF
— Binance (@binance) 2018年12月12日
また、バイナンスは「Binane Blockchain Week」をシンガポールで2019年1月に開催、ハッカソンやカンファレンスが催されます。
米メディアForbes(フォーブス)のカンファレンスのパネルでは、同国の規制の議論やドラフトはクリプトをよく理解していると評価を述べています。また、シンガポールの政府系ファンドから投資を受けていて、今後バイナンスにとってシンガポールは非常に重要度が高いエリアになるといえるでしょう。
バイナンス(Binance)の予想される同社の今後の動き
この他にも KYC/AML で ChainAlysis や Rifinitiv との提携や、ステーブルコイン(Stablecoin)の拡充などに動いており、注目度が高い動きが多くあります。
さて、ここから読み取れることはなんでしょうか。
バイナンスは、各国に拠点を作りながら「DEX(正確にはノンカストディエクスチェンジ)」を拡充させています。恐らく、今後は各国に強いコミュニティを作って、バイナンスチェーンの周辺ツールを、コミュニティと一緒に作っていくことはまず想像できます。
一方でバイナンスは、世界で最も大きい市場の一つであるアメリカでレギュレーションに真摯に対応しているようには少なくとも見えません。
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同社のトークンは証券性が高く、また、USで免許を取っていないにも関わらずアメリカ国民の顧客を確実に抱えていることは明白です。
アメリカ国内の取引所に向けると、今後はコインベース(coinbase)も多くのアルトコインやトークンを上場させるとしていて、バイナンスの魅力はアメリカ国内では相対的に下がるでしょう。
また、アメリカの機関投資家がバイナンスのようなプラットフォームを使えるはずもありません。
とすると、シンガポールやその他のオフショアでは機関投資家をしっかり運営しつつ、アメリカなどを除いた地域ではコミュニティドリブンの品質高いリテール取引所を作っていくのではないかと考えられます。
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