イーロン・マスクによるドージコイン(DOGE)価格高騰疑惑と得るべき教訓

テスラ(Tesla)とSpaceXの最高経営責任者(CEO)を務めるイーロン・マスク氏と、ドージコイン(DOGE)の関係性について論争が起きています。

2021年にドージコインのツイートが増加

2021年に入りイーロン・マスク氏はツイッターにドージコインについて投稿することが多くなりました。そして、これらの投稿によってドージコインの価格は影響を受け、2020年から2021年にかけては数十倍にまで高騰しました。

マスク氏がCEOを務めるTesla社は2021年5月にビットコイン決済の停止を発表。その理由をビットコインのエネルギー消費問題によるものだとしています。またプレスリリースには、ビットコインの電力消費の1%以下の新しい暗号資産を模索していると付け加えられていました。

そしてマスク氏はその翌日に、ドージコインの開発者と決済性効率に取り組んでいるとツイートをしました。

ツイートによって再びドージコインの価格が高騰することになりました。しかしこのツイートに対して、ドージコインの開発者がマスク氏を「自己陶酔したペテン師」と非難するツイートを投稿、その数時間後に削除する出来事がありました。彼によると、マスク氏がドージコインの開発者に初めてコンタクトしたのが2019年で、資金提供の申し出もあったといいます。しかしドージコイン開発者はこの資金提供を断っています。これについては、Decryptによる取材記事に詳しく書かれています。

参考:Exclusive: Dogecoin Developers Say They’ve Been Working with Elon Musk Since 2019

影響力をビットコインにも利用

ドージコインのブロックチェーンデータによると、同時期2019年にあるアドレスが全体供給量の27%ものドージコインを買い集めていることが明らかになりました。このアドレスの保有者が誰のものかは完全には確認されていませんが、時期的にイーロン・マスク氏のものではないかと推察されています。

マスク氏はドージコインの価格だけでなく、ビットコインの価格にも自身の力を利用し、恐らく意図的に影響を与えています。本件は価格操作の事実としてビットコインETFの議論を遅らせる要因にもなるのではないかとも言われています。

暗号資産にとっては過去最大の相場操縦事例を作ってしまったと判断してもよく、いくらコモディティといっても、将来の規制議論の場で尾を引く話になりそうだと筆者は感じています。

私たちが得るべき教訓

私たちが、イーロン・マスク氏によるドージコインやビットコインに対する価格操作ともとれる行動からが得るべき教訓は何でしょう。

それは、どんなに社会的地位がある成功者、それが世界時価総額トップ10の会社の社長レベルでも、大衆を不誠実に動かし利益を大きく得ようとする事例があるということです。日本でドージコインを買っている人はあまりいなそうですが、良い教訓ではあるでしょう。

マスク氏の一連の行動については、LINEグループで投資勧誘したり、特定の銘柄の価格誘導を目論むグループを作っている人とやっていることは何も変わりません。スケールが違うだけです。そういった事例がどんな規模になってもあることを理解して、投資や市場に向き合うべきだと教えてくれます。

今回の事が明るみに出たことで、マスク氏と彼の本業であるTeslaやSpaceXの信用には少なからず影響があるのではないかと予想されます。

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