ケンタッキーフライドチキン(KFC)は中東全域でのデジタル広告と、広告枠販売を刷新するために、ブロックチェーンの試験運用を発表しました。この動きは外食産業が分散型テクノロジーに参入する、最も新しいケースとして注目されています。
KFCがデジタル広告にブロックチェーンを選んだ理由
中東のビジネス情報サイトAMEinfoによると、中東でブロックチェーンを導入したのはKFCが初めての企業であり、この地域でのより効率的で洗練された宣伝広告と、メディア配信のフレームワークを創造することを目的としているとのことです。
計画においては、ブロックチェーン利用によって、有益な広告データの収集が可能になり、KFCのブランド力を一段と強化することができると考えられています。また、分散型台帳の仕組みによってセキュリティーと透明性が向上されることで、KFCのメディア・エコシステムへ参加する価値が高まることも狙いのひとつです。
このテストプロジェクトにおける最大の目的は、否定的な意味ではなく宣伝広告の在り方と利益の最適化を再考し、飽和状態のコミュニケーションを削減することです。KFCを中核とした外食企業グループであるヤム・ブランド(Yum! Brands)の最高マーケティング責任者(CMO)オズゲ・ゾラリオグル(Ozge Zoralioglu)氏は、KFCの分散型技術利用における最大の狙いは、メディア分野でのブロックチェーン活用だと述べています。
試験的プロジェクトに関して、ゾラリオグル氏は「洗練されたブロックチェーンソリューションの利用によって、KFCはリアルタイムデータの可視性を向上し、最新の動向を分析できるようになる。情報は信頼性が証明され、改ざん防止策も万全な、信用できるデータだと言える。また、ブロックチェーンの不変性によって、サプライチェーンにおける信頼性と透明性、そして効率性を改善することも可能になる」とも述べています。
外食業界に浸透するブロックチェーン
外食産業が新興の技術を採用するトレンドの中で、KFCの試験的ブロックチェーン計画は最も新しいものです。中国の中央銀行発行デジタル通貨(CBDC:central bank digital currency)のテストに参加するには、暗号資産(仮想通貨)による決済受け入れが必要となることから、ファストフード・チェーンは、非接触決済の速やかな導入に焦点を合わせています。
アジア太平洋地域で電子支払いが一般的になるにつれ、カフェ、ピザ店、その他レストランでも仮想通貨決済を採用しています。他の外食関連の企業では、マクドナルド(McDonald)、サブウェイ(Subway)、スターバックス(Starbucks)などが、中国の雄安新区(Xiongan)で行われる中央銀行発行デジタル通貨のテストに参加するとされています。
参考
・KFC Debuts Blockchain Media Pilot in the Middle East
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