米連邦準備理事会(FRB)がデジタルドルの2種のプロトタイプを7月にも公開へ

(FRB)は、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の開発を進めており、早ければ7月にもデジタルドルの2種のプロトタイプがお目見えする予定です。FRBのジェローム・パウエル議長はこのほど、国際決済銀行(BIS)主催のデジタルイノベーションに関するイベントで、開発中のデジタルドルについて詳細に語りました。

ボストン準備銀とMITが開発中のデジタルドル

パウエル議長は席上、FRBがデジタルドルの開発に積極的に関与しており、ボストン連邦準備銀行とマサチューセッツ工科大学(MIT)に委託して開発中のプロトタイプが完成に近づいていると言明しました。ボストン準備銀でプロジェクトを指揮しているジェームズ・クーニャ(James Cunha)氏は、デジタルドルの移動、保管、トランザクションを実行する2つのプロトタイプ・ソフトウエア・プラットフォームを公開するのは「早ければ7月になる」と語りました。

クーニャ氏によると、デジタルドルに関連して中央銀行、財務省、議会が対応しなくてはならない複数の大きな問題があります。それはFedが顧客の口座を直接管理するかどうか、匿名性を認めるか否か サイバー攻撃もしくは誤ったトランザクションがあった際に顧客がどのような保護を受けるかなどの問題です。

クーニャ氏はその点について、「政策論議を(いつまでも)待てないということが重要だと思う。そうでなければ1年近く遅れてしまう。これこそ業界と真剣な議論に対する重要な支援である」と述べてします。

パウエル議長、CBDC開発は「最高の優先プロジェクト」

パウエル議長によると、国民が選ぶ指導者(ここではバイデン大統領)の支援があって初めて、デジタルドルの完全な形の採用があります。同氏は2月、デジタルドルはFedにとって「最高の優先プロジェクト」であると語っていました。そして同氏は、「われわれは議会だけでなく、政府さらには国民の多数からの了承を得なくてはならない」と次のように語りました。

「われわれは議会の支持なくしては事を進められないだろう。それは事を実現するよう法律を解釈する努力をするというよりむしろ、法律を制定する形で実施するのが理想である」

プロトタイプはデジタルドルの移動・保管・決済が可能に

FRBとMITは、2020年8月から協力して、デジタルドルのプロトタイプを開発してきました。クーニャ氏によると、共同チームはデジタルドルのトランザクションを移動、保管、決済できる2つのプラットフォームが開発中です。

デジタルドルは、米国市民のマネーの利用法を変えうる大きな出来事であり、ブルームバーグ(Bloomberg)によると、銀行は決定的な遅れをとることになる可能性があります。VISAやMasterCardは、CBDCが両社のネットワーク上で利用可能になるよう協力する姿勢を示しています。

参考
The Fed Plans to Unveil Digital Dollar Prototypes in July
The Fed Plans to Unveil Digital Greenback Prototypes in July – Regulation Bitcoin Information

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