大手仮想通貨取引所バイナンス(Binance)とコインベース(Coinbase)との競争が激化

世界最大手の仮想通貨取引所バイナンス(Binance)と米最大手コインベース(Coinbase)が、クライアント獲得とサービス強化をめぐる激しい戦いを演じています。その競争は、仮想通貨メディアの表現によると、「互いの縄張りを侵犯」するところまで来ています。

バイナンスが仮想通貨取引量で50%超え、最大手の地位固める

最近の目立った動向は、決済処理などITソリューションのシンプレックス(Simplex)と提携したバイナンスが、一挙に最大の仮想通貨取引所の地位を固めようとしていることです。加えてバイナンスは、クレジットカードによる決済受け入れを発表したことから、コインベースや欧州のビットスタンプ(Bitstamp)などとの激しい競争がピークに達しようとしています。

センタリング

バイナンスはこの過程で、いくつかの中小取引所を競争から排除し、米ビットレックス(Bittrex)やポロニエックス(Poloniex)など大手を含む数々の取引所から市場シェアを奪っています。仮想通貨とブロックチェーンの市場のリサーチを行うブレイブ・ニュー・コイン(Brave New Coin)のデータ(上図)によると、バイナンスの取引量シェアは2017年8月には僅かに10%以下でしたが、2019年2月には50%を超える勢いになっています。

法定通貨との交換能力はバイナンスが圧倒的な競争力誇る

コインベースや米ジェミニ(Gemini)はいずれも、数多くのアルトコイン取引を登録していませんので、ビットコインの多くは、より幅広いアルトコインとのペア取引を提供できるバイナンスの手に握られています。上図の通り、バイナンスの最大の競争相手ビットフィネックス(Bitfinex)は、17年8月の40%から現在約15%にまで落ち込みました。

バイナンスの成功は、取引のため登録されるアルトコインが圧倒的の多いことが重要な一因です。法定通貨との交換能力によって、バイナンスは今や、別の取引市場に対して圧倒的な競争力を誇っています。

取引手数料はバイナンスが他社より高いのだが……

今話題になっているクレジットカード決済と銀行間振替について比較すれば、バイナンスとコインベース、ビットスタンプの料金構造には大きな差があります。バイナンスを通じてビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)、ライトコイン(LTC)、リップル(XRP)を購入したい人は、デビットカードもしくはクレジットカードを使って、3.5%もしくは10ドル(約1,100円)の手数料を支払うことになります。

例えば、500ドル相当のビットコインを購入する人は、17.5ドルの手数料を支払い、200ドル相当のビットコインを購入する場合は10ドルを支払うことになります。

一方、例えばコインベースとビットスタンプ両取引所は、銀行振替を通じて購入するサービスを提供しています。これはバイナンスより割安となり、例えばコインベースによる200ドルの銀行振替購入は2.99ドルの手数料で済み、10ドルを支払うバイナンスより有利です。バイナンスは現在、銀行口座を経由する購入サービスを提供していません。

BNBの成功やTrustWallet買収などバイナンスが戦略強化

しかし、数ドルの手数料節約は、市場価格の変動が激しい仮想通貨を急いで購入したい人にとって、大した問題ではありません。銀行振替の手続きは数日かかる可能性があるため、投資という観点から見て、その間に価格が下落するリスクは投資家にとって我慢できないほど大きくなります。

バイナンスがカード決済を導入したことは、最近の極めて大きな決断の1つです。バイナンスは最近このほか、EU諸国向けの取引所Binance Jerseyあるいは分散型取引所BinanceDEXなどの新サービスやモバイルウォレットのトラスト・ウォレット(TrustWallet)の買収など、攻勢を強めています。これらはバイナンス独自のトークンであるBNBの時価総額を押し上げようという同社戦略を支援する動きと言えるかもしれません。

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参考
Brave New Coin

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